俳優の西田敏行さんが5月12日に「胆のう摘出手術」を受けることが分かりました。頸椎亜脱臼の手術を受けた西田さんは「胆のう炎」のため入院生活を続けていました。胆のう炎は一度治まっても何度も再発するという特徴があります。今回、手術に踏み切ったのは胆のう炎の再発を防ぐためだといいます。
胆のう摘出手術は、胆のうを全部取ってしまう手術。「そこまでしなければならないのか」と、すこし驚きますが、胆のう炎の治療としては決して珍しいことではないそうです。
胆のう炎のほとんどは胆石が原因
「胆のう炎」というと聞きなれない病気のように思いますが、「胆石」といえば分かりやすいでしょう。胆のう炎は胆のうに炎症が起きる病気です。そして、炎症の原因のほとんどは胆石だといわれています。西田さんが受ける「胆のう摘出手術」は、要するに胆石の手術のことです。
手術によって再発を避ける
「胆のう炎」の治療には手術以外の選択肢もありますが再発がネックになります。
例えば、薬で胆石を溶かす胆石溶解療法は胆石を溶かすのに1年近くかかる上に、1年で17%、3年で40%が再発するといいます。メスを使わずに胆石を細かく砕く「体外衝撃波」(ESWL)は画期的な治療ではありますが、1年で20%、5年で40%が再発するのだそうです。
胆のうに一度胆石ができると、たとえその胆石を取り除いても再び胆石ができやすくなります。そして、胆石がある限り、胆のう炎は再発します。再発を防ごうと思えば手術を選択する必要があるのです。胆のう摘出手術は胆石ができる胆のうを丸ごと切除するものです。
胆のうを丸ごと取り除くのですから体への負担は大きいといえますが、手術に伴う傷口は小さくできます。腹腔鏡下手術はお腹を大きく切開する代わりに、2mm、5mm、12mmのポートと呼ばれる筒をお腹に刺し入れて手術を行います。傷口が目立たず、美容面で優れています。また、手術に伴う出血も少ないので、術後の回復も早いといわれています。西田さんが受けるのも腹腔鏡下手術による胆のう摘出手術だそうです。