顔面移植の仏女性 死因は治療法のない慢性拒絶反応?

顔面移植のフランス人女性が亡くなる

顔面移植を世界で最初に受けたフランス人女性・イザベル・ディノワール(Isabelle Dinoire)さんが亡くなられました。顔面移植の手術から約10年後となる今年の4月22日、長い闘病生活の末の他界でした。

イザベル・ディノワールさんの受けた世界で最初の顔面移植は、「部分的な」顔面移植。寝ている間に飼い犬に噛まれて、顔面をめちゃめちゃにされたイザベル・ディノワールさんには、呼吸や会話といった機能面での問題のほか、他人から見られる苦痛のため顔面移植を決意。手術は2005年、イザベル・ディノワールさんが38歳のときにアミヤン(Amiens)の病院で行われました。

イザベル・ディノワールさんが移植したのは、鼻、唇、顎からなる顔の三角形部分。執刀したのは1998年に手の移植を初めて成功させた高名な医師と顔の形成外科の専門家によるチームでした。

手術を終えてしばらくたった2006年、イザベル・ディノワールさんはメディアの前に姿を現します。彼女の顔面は機能的に問題なく、見た目についても実年齢通りの若い女性の外見というわけにいかないものの、切り裂かれた状態とは程遠いもので、彼女自身も新しいアイデンティティーを受け入れている様子で1時間半にわたる質疑応答を疲れた様子も見せずにこなしたのでした。

その彼女が亡くなったのが今年の4月。免疫抑制剤のためにがんを発症していたこと、そして、移植部位に新たな拒絶反応が出ていたことが報告されています。

顔面移植 拒絶反応のピークは過ぎていた

臓器移植を行うと、移植部位を異物と判断した免疫反応によって拒絶反応が起き、ときには死に至ることもあります。しかし、こうした拒絶反応のピークは術後3カ月後までで、6カ月を過ぎると安定し、免疫抑制剤の量も減らすことができるそうです。

イザベル・ディノワールさんの場合は手術から10年が経っていますから、臓器移植で最も心配される時期はとっくに過ぎていますが、昨年冬に新たな拒絶反応が生じ、唇の一部の機能が失われていたといいます。

拒絶反応は起きる時期によって次のように分類されます。
・超急性拒絶反応……術後24時間以内
・促進急性拒絶反応……術後1週間以内
・急性拒絶反応……術後1週間から3カ月の間
・慢性拒絶反応……術後3カ月以降

この分類に従うと、イザベル・ディノワールさんには慢性拒絶反応が起きていたことになります。

慢性拒絶反応では、移植後に少しずつ作られていった抗体が移植臓器の動脈に沈着して血流障害を起こし、枯れ枝状動脈となって臓器の機能が失われるのだそうです。慢性拒絶反応に対する治療法は現在のところ確立されていないとのこと。

とはいえ心臓や肝臓などの移植とは異なり、唇の慢性拒絶反応がただちに生命の維持に関わるものなのかは疑問です。慢性拒絶反応に対する治療による体への負担が大きいのかも知れません。あるいは、直接の死因は免疫を抑制したことによるがんや感染症だったのか……。

いずれにしても、この死をもって10年前の手術の是非は問えないような気がしますね。時間が経ち過ぎていますし、結末はともかくとして顔面移植から得られる幸福もあったことでしょう。幸いなことに、イザベル・ディノワールさんは家族に囲まれて亡くなられたそうです。

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