勝谷誠彦死去…劇症肝炎はウイルス?アルコール?

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コラムニストの勝谷誠彦さんが2018年11月28日、劇症肝炎のため亡くなられました。

劇症肝炎という病気は、通常回復力の強い肝臓の細胞が急激に破壊され、回復が間に合わなくなる病気。脳の障害を伴うのが特徴です。

ひとつ疑問があるのは、報道によれば「アルコール性」の劇症肝炎とされていることです。なぜこれが問題になるのかというと、アルコールで劇症肝炎になるという説が、調べても見つからないからです。

勝谷誠彦さんの劇症肝炎アルコール説は、非常に稀なケースか、もしくは誤報であると思われます。



実はアルコールと関係の薄い劇症肝炎

アルコールの摂り過ぎで肝臓が悪くなるのは常識ですよね。

だから劇症肝炎の原因がアルコールといわれると納得してしまいます。

でも、アルコールで肝臓を悪くするときは、脂肪肝→肝炎→肝硬変→肝臓がんの流れになります。このプロセスに劇症肝炎は関連していません。

劇症肝炎の原因はウイルスが主

劇症肝炎の原因はウイルスによるものが大半で、

  • B型肝炎ウイルス…40%
  • 原因が特定できない…30%
  • 薬物アレルギーや自己免疫性肝炎…各10%以下

の割合だそうです。この中にアルコールは含まれていないんですね。


肝炎とは異なる劇症肝炎の特殊さ

劇症肝炎はもともとの定義からして、アルコールの飲みすぎで肝機能が低下する病気とは区別されます。

劇症肝炎の定義によれば、「重篤な肝機能障害が出現する以前に肝機能障害のないことが条件」とされています。つまり脂肪肝→肝炎→肝硬変→肝臓がんと進行していく過程で肝機能に障害が出ている場合は劇症肝炎ではないのです。

ただし、医学の歴史の中で定義も揺れており、肝機能障害のある患者が劇症化するケースが認められるなど、劇症肝炎の理解も複雑化しました。

そうはいっても、現在においても劇症肝炎と、通常のアルコールの飲みすぎによる肝機能低下とが別物であることに変わりはありません。

この違いを示す、秀逸な例えがあるので紹介します。

肝炎を戦争に例えると、肝細胞を兵士とすると、通常の肝炎が小銃やまたは機関銃で兵を殺傷するのに対して劇症肝炎では兵を運ぶ輸送船を撃沈して師団や軍団の単位で兵士を全滅させる差にも似ており両者は別の機序によると思われる。

参考:
「劇症肝炎 肝炎の劇症化とはなにか」帝京短期大学紀要No.20:213-222,2018



まとめ

勝谷誠彦さんの死因となった劇症肝炎は、報道の通りに受け取るなら「アルコール性」ということになります。

しかし、劇症肝炎は肝炎などによる肝機能低下とは根本的に異なっています。「お酒の飲みすぎで肝臓を悪くした」といったよくある話ではないのです。

これから述べることは何の根拠もないことです。

劇症肝炎の原因で最も多いB型肝炎ウイルスは性行為でも感染します。俗な見方をするなら、劇症肝炎は乱れた性を連想させるかもしれません。またそういった方面で潔白だったとしても、では母子感染かということになれば家族ごとウイルスのキャリアではないかと邪推され、風評被害に発展する心配も。

「劇症肝炎である」とは単に当事者の肝臓の状態を示すのみならず、家族を巻き込むのです。生前の勝谷さんはこれを嫌ったということはないでしょうか。そして、ことさらに「アルコール性」を強調した可能性は?

報道ではアルコールが原因のような伝え方をしていますが、これを文字通りに受け取り、アルコールが主な原因で劇症肝炎を発症したとはちょっと考えにくい気がしました。あるいは、本当にアルコールが主な原因なら、それは劇症肝炎ではないのでは?と。


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