自民党の鳩山邦夫氏の死因は「十二指腸潰瘍」だそうです。あまり耳にしない病名ですが「胃潰瘍」ならよく聞きます。十二指腸潰瘍が胃潰瘍のような病気なら、そもそも死ぬような病気だろうかという疑問がわいてきます。
十二指腸潰瘍と胃潰瘍の違いは場所
まず、十二指腸潰瘍と胃潰瘍はほぼ同じもので、2つをまとめて消化性潰瘍と呼ぶこともあります。胃潰瘍ができやすいのは胃の真ん中付近です。次に十二指腸潰瘍胃は、胃の出口付近の幽門部と呼ばれる部位のすぐ後ろにある十二指腸にできます。
胃や十二指腸の粘膜が胃炎によって傷つくことを「びらん」とか潰瘍といいます。びらんが酷くなったのが潰瘍で、さらに悪化すると穴が開いて「穿孔」という状態となり、腹膜炎や大量出血が起きることもあります。
出血多量で死ぬこともある十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍が胃潰瘍とほぼ同じものだとすれば、死ぬような病気なのだろうかという疑問もわいてくるかもしれませんが、十二指腸潰瘍は大量出血によって命を落すことのある病気。
それに近い状態だったのが歌舞伎俳優の尾上菊五郎氏です。尾上氏は今年3月に胃潰瘍によって吐血し、一升瓶1本分ほどの大量出血があったそうです。医師からは、「もう一度吐いていたら危なかった」と言われたのだとか。尾上氏の場合は危機を乗り越えることができましたが、鳩山氏はもっと悪い状況だったと思われます。
(参考:尾上菊五郎、胃潰瘍で大量吐血「胃酸の出過ぎ」説はもう古い!?)
報告によれば、胃炎を原因とする激しい出血は集中治療室(ICU)の患者の約2%に見られ、その内の60%は死に至るそうです。大量出血が起きると多量の輸血が必要になり、止血はますます困難になります。たとえ外科手術を行ったとしても内科的な治療と大差はなく、予後は不良。十二指腸潰瘍や胃潰瘍は死ぬこともある病気であり、大切なのは出血させないこと、出血しそうな患者を見極めることだといわれています。
鳩山氏の死因が十二指腸潰瘍だと聞くと意外な感じがしますが、大量出血が始まってしまったら、ある意味で手のつけられない病気。鳩山氏は不幸にしてそうしたケースだったのかもしれません。
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