6月14日のあさイチ(NHK)で腰痛や肩こりの改善に有効な「拮抗筋ストレッチ」が紹介されました。動きを見ると、どれもヨガのポーズに出てくるものばかり。ここでは拮抗筋ストレッチについて見てみましょう。拮抗筋を理解することは腰痛や肩こりの解消に役立ち、また、ヨガの中にある伝統的な動きの有効性を上手く説明することにもつながります。
主働筋と拮抗筋
筋肉は表と裏でバランスをとりながら働いています。例えば、「力こぶ」でいうと、腕を曲げて膨らむ側である上腕二頭筋とその反対側の上腕三頭筋(二の腕のたるみが気になる部分です!)が拮抗筋の関係にあります。
力こぶ側に力が入っているときは、反対の二の腕側の力は抜けて伸ばされています。そして、拮抗筋ストレッチの最も重要なコンセプトは、二の腕(上腕三頭筋)は力こぶ(上腕二頭筋)に力を入れるほど伸ばしやすい、というもの。肘の関節は誰でもある程度自由に動かせるので、この仕組みの恩恵はあまり実感できませんが、同じことを脚で考えたらどうなるでしょうか。
立ってやる、筋肉を使う
立った姿勢から前屈して床に手をつこうとすると、すんなりつく人もいれば、全くつかない人もいます。これは太ももの裏側(ハムストリングス)やお尻、背中の筋肉の柔軟性に違いがあるからです。これらの筋肉の柔軟性が不足すると腰痛の原因になります。そこで「拮抗筋ストレッチ」を行います。
立った姿勢で前屈していきますが、このとき膝上の前側の筋肉(大腿四頭筋)に力が入ることで、拮抗筋である太ももの裏側(ハムストリングス)が伸ばされやすくなります。ポイントはというと、立ってやること。座って脚を前に投げ出した姿勢で同様の前屈姿勢をとると、脚の前側の筋肉に力が入りません。立って行うと、倒れないように姿勢を維持しなければならないので必要な筋肉が動員されるのです。足首を掴んで行えばより安全にコントロールしながらストレッチできます。
上手く前屈できない原因には、膝が伸びないことと、足の付け根(股関節)が曲がらないことの2つが挙げられます。この2つを同時にクリアーすることは難しく、本来股関節は曲げられる人でも膝が伸び切らずに前屈できません。
そこで、最初は膝を伸ばすことは考えず、お腹と太ももを近づけて足の付け根(股関節)をまずしっかりと曲げておきます。この姿勢をキープしながら、少しずつ膝を伸ばしていくのがポイント。このようにして行うと、ゆっくり動かすスクワットのような要素も入ってきます。お腹と太ももが近づいていることで常に大腿四頭筋と腹筋群に力が入り、拮抗筋である体の裏側の筋肉が伸ばされやすくなります。
拮抗筋ストレッチの考え方を理解していれば、あとは自分で応用できますよね。ストレッチというと「リラックス」と考えがちですが、緊張すべきところが緊張している方が効果は高いのです。ストレッチをする際は立って行う種目を選ぶこと、寝て行うポーズのときも姿勢の維持に努力が必要なもの(つまり、拮抗筋を緊張させる必要があるもの)を選ぶことが柔軟性を向上させる近道です。
あらためてヨガのポーズを見てみると、ほとんどが拮抗筋を緊張させる「拮抗筋ストレッチ」になっていることに気づきます。本当によくできていますよね! 腰痛や肩こりを解消したい人は完全脱力のストレッチから、力を使う必要のあるストレッチに切り替えてみるのがよさそうです。
東京女子流・小西彩乃さん腰痛治療に専念! 反り腰? 分離症? 椎間板ヘルニア?
G阿部も実践する脈拍数ダイエット! 痩せる心拍数の計算方法は?