前十字靭帯断裂はスポーツでしばしばみられるケガです。復帰は可能ですが、治療とリハビリに約1年間かかります。前十字靭帯断裂が起きやすい状況は、サッカーなどで他選手と接触したり、転倒したりしたときや、急激なストップ、膝を軸にしたピボット動作で膝に負担がかかったときなどです。また、ジャンプして不自然な姿勢で着地したときも危険です。
前十字靭帯とは?
靭帯は骨と骨が離れないように結びつける軟組織です。関節の安定は靭帯によって保たれています。膝関節では、大腿骨と脛骨が接し、その間に半月板が挟まるという複雑な構造をしています。膝関節は4つの靭帯によって安定性を保っています。前十字靭帯と後十字靭帯は縦方向の安定を保ちます。内側側副靭帯と外側側副靭帯は側方への動揺を防ぎます。この内、前十字靱帯は大腿骨の後方から脛骨の前面に斜めに走っており、下肢の動きのほとんどすべてに関与します。
「前十字靱帯不全膝」での生活は可能
前十字靭帯断裂は1~2週間の間、腫れ、痛み、可動域の制限が見られますが、1か月ほどで痛みもなくなります。前十字靭帯が切れたままでも日常生活を送れるので、中には断裂に気づかない人もいます。前十字靭帯が断裂したままの状態を「前十字靱帯不全膝」といい、膝は非常に不安定な状態にあります。このままスポーツを行うと軟骨や半月板にも負担がかかり、他の部位を立て続けにケガをすることにもつながります。当然、パフォーマンスも低下してしまいます。そのため復帰を目指すアスリートは時間をかけて治療とリハビリに専念します。
手術では、膝や太ももの腱から採取した腱組織で前十字靭帯を作り直す「靭帯再建術」が一般的です。手術後は日常生活に支障がでなくなるまでに10日前後、軽い運動ができるようになるまでに1か月半~2か月ほどかかります。競技復帰までは約1年です。前十字靭帯断裂は、時間はかかりますが、復帰を期待できるケガといえます。
MF長谷部誠、長期離脱か!? サッカー選手の「恥骨炎」を引き起こす身体的特徴とは?
超短時間で引き締まった体に! 「タバタトレーニング」を知っていますか?