小林麻央 手術せず術前化学療法で完全奏効に期待説

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小林麻央 手術しなかった理由は術前化学療法にある

小林麻央さんが手術していない理由は、代わりに術前化学療法をしていたからに他なりません。術前化学療法というのは、乳がんの腫瘍を切除する手術を行う前に抗がん剤を使って腫瘍を小さくする治療のことです。

問題は術前化学療法を行った理由が、手術の選択肢が初めからなかったためなのか、それとも手術の選択肢はあったけれどあえてそうしたか、という点でしょう。ここでは、あえて選択したとすればどういうケースが考えられるかを見てみましょう。

その前に、術前化学療法という治療は特殊なものではなく、広く行われている治療だということを知っておく必要があります。ただ、腫瘍があることが分かっているのに数カ月から半年くらいそのままにしておくわけですから、その間に腫瘍が大きくなってしまう危険性は当然あります。術前化学療法を行うかそれともすぐに手術を行うかは医師の方針によっても変わり、最終的には患者本位が決断することになります。
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ここで注目したいのは、広く行われている術前化学療法のなかでも、とりわけ成功した場合の利益が大きいと考えられている2つのケース。つまり、トリプルネガティブとHER2陽性という2つのケースです。いずれも、術前化学療法に期待が寄せられる大きな理由でもある「病理学的完全奏効」と関わっており、とりわけこの2つのケースでは術前化学療法が勧められることが多いのだそうです。

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病理学的完全奏効を得たトリプルネガティブの予後は良い

病理学的完全奏効とはすべてのがんが消えてしまうことで、手術を行う前の抗がん剤治療だけでそうした状態に至ることがあります※。米国がん学会(AACR)の報告(https://www.cancerit.jp/37101.html)によれば、乳がんのサブタイプがトリプルネガティブの患者に術前化学療法を行い追跡調査したところ、病理学的完全奏効を得られた患者とそうでない患者の予後に大きな差が出たといいます。

3年間の追跡調査の結果は次の通りでした。

<病理学的完全奏効を得られた患者>
再発率……9%
死亡率……6%

<病理学的完全奏効を得られなかった患者>
再発率……27%
死亡率……25%

少し補足すると、トリプルネガティブというのはホルモン療法や分子標的薬といった治療が効かないタイプです。手術を行った後にホルモン療法や、分子標的薬を併用いた抗がん剤治療で再発を防ぐための治療を行うことができません。一方で、ここで見たように術前化学療法で病理学的完全奏効に至れば、予後は各段に良くなるので、手術の前に抗がん剤治療を行う価値があるといえます。

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ただ、別の見方をすると、トリプルネガティブで手術を行わないまま腫瘍が大きくなってしまうと、それに対処するための選択肢もなくなってしまうので、トリプルネガティブだからこそ手術だけは早めに行った方がよいという考え方もできます。

なお、報告ではカルボプラチンという抗がん剤とベバシズマブという分子標的薬を追加した場合に病理学的完全奏効を得る患者が増えたといいます。参照元には残念ながら、トリプルネガティブで術前化学療法を受けた人の何パーセントが病理学的完全奏効‎を得るのかが示されていないようでしたが、割合しては高くはないはずです(もし高ければ夢のような治療法であり、トリプルネガティブは治り易いタイプということになりますが、実際にはそうではありません)。

※病理学的完全奏効の意義については議論があります。米国FDAのPatricia Cortazar氏らの報告は、乳がんの病理学的完全奏効は再発が発生しない確率や生存率とほとんど関係がないとしています(Lancet誌オンライン版2014年2月14日号)

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HER2陽性はハーセプチン併用で病理学的完全奏効を得やすい

術前化学療法の恩恵が大きいと考えられるもうひとつのケースがHER2陽性です。HER2とはがん細胞表面にあるタンパク質でがん細胞の増殖に関わっています。

HER2に対してはハーセプチンを用います。ハーセプチンはHER2に有効に作用する分子標的薬です。このハーセプチンを併用した場合と従来の化学療法を比較したとき、病理学的完全奏効を得られる割合に差が出たといいます。

・ハーセプチン併用群 65.2%
・従来の化学療法群 26.3%
アメリカ・MDアンダーソンがんセンターの報告(https://www.cancerit.jp/7012.html)

このようにハーセプチン併用群では病理学的完全奏効の可能性が高まることが分かります。
こうした理由もあってハーセプチンの効くHER2陽性に対しては、術前化学療法によって腫瘍の縮小を期待するケースが多いのだそうです。

小林麻央さんは、最初はリンパ節転移だけだったものの現在では肺と骨に転移してステージ4となっています。こうした結果を踏まえると「切除できるうちに切除しておけばよかったのに」と、誰もが思います。ただ、乳がん治療において術前化学療法は特殊なものではなく、中には手術を行うまえに術前化学療法を行った方が明らかに有益だと判断されるタイプもあります。

小林麻央さんがここで取り上げた2つのタイプのいずれかに該当するかどうかは不明です。ただ、自らの意志で手術ではなく術前化学療法を選んだのだとすれば、少なくとも治療開始の時点では、リスクよりもメリットの方が大きいと思わせる何かがその治療にはあったのでしょう。そういた詳細については、ブログで明かされるのを待たなくてはなりません。

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