アレキサンダー病は非常に稀な疾患で、日本では約50名の患者がいると推測されています。1949年にAlexander WSにより報告されたことから、このような病名になっています。当初は乳幼児までに見られる子ども特有の疾患と考えられていましたが、現在では、新生児から高齢者まで、幅広い年齢層で発症することが分かっています。
3つのタイプに分類される
アレキサンダー病は3つのタイプに分類されます。
・大脳優位型:
乳幼児期に発症し、けいれん、頭囲拡大、精神運動発達の遅れの症状が現れます。難治性のけいれんに水頭症を伴うことが多く、数か月以内に死亡するケースが大多数です。
・延髄・脊髄優位型:
学童期や成人期以降に発症し、大脳優位型に比べて進行が穏やかなのが特徴です。食べ物を飲み込む嚥下機能、運動機能、自律神経の障害が現れます。嘔吐やしゃっくりをきっかけに医療機関を受診して発見されるケースがあります。
・中間型:
前2者の中間に位置づけられる状態です。進行は、大脳優位型よりも遅く、延髄・脊髄優位型よりも早くなります。
治療法が確立されていない難病
アレキサンダー病は発症のメカニズムが解明されておらず、治療法が確立されていない難病です。そのため、症状を抑える治療が中心です。けいれん発作には抗てんかん薬を用います。嘔吐を繰り返す場合は栄養管理が重要になります。発症する年齢が高くなるほど進行がゆっくりになる傾向が認められています。最も予後が悪いのは、新生児期にけいれんを伴う場合です。けいれんのコントロールが難しく、水頭症を伴い早期に亡くなるケースが多いといいます。
寿命については個人差が大きいものの、乳幼児で発症した場合で約14年、成人以降で発症した場合に約25年といわれています。アレキサンダー病かどうかの確定診断については、以前は生前には困難とされていましたが、現在では「GFAP遺伝子」の異常が原因であることが分かっており、遺伝子検査によって診断を行うことが可能です。
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