1月18日、米ロックバンド「イーグルス」リーダーでギタリストのグレン・フライさんが死去したことが伝えられました。死因については、慢性関節リウマチ、急性潰瘍性大腸炎、肺炎などの合併症と報じられています。
関節リウマチには、お年寄りに多く、関節が痛くなる病気というイメージがあります。「死因」として語られるのは、少し意外な気がしますよね。しかし、関節リウマチは死亡率を優位に高めるという報告があります。
関節リウマチで寿命が6~9年短くなる!?
オランダRijnstate病院のM. Hoefnagels氏らは、関節リウマチと寿命の関係、考えられる疾患リスクについて、オランダの死亡統計をもとに分析しています。対象となったのは1997~2005年に死亡した315名で、その多くがリウマチ因子陽性となっていた人たちです。
まず、注目すべきは寿命です。一般的なオランダ人に比べ、関節リウマチの人は短命の傾向があり、男性で6.4年、女性で8.8年短かったといいます。
関節リウマチがあると感染症が多くなる
次に死因について見てみましょう。
関節リウマチは、一般的な人たちに比べ、死因に占める疾患の割合が変化します。
《関節リウマチ患者の死亡人数(一般の死亡人数)》
・心血管疾患81人(一般101.7人)
・がん73人(一般103人)
・感染症57人(一般14.0人)
このように心血管疾患、がんといった死因が少ない傾向にある反面、感染症による死亡率が高いことが分かります。
また、関節リウマチの治療薬を用いることでかかりやすくなる疾患もあり、
・消化管出血または穿孔
・汎血球減少症
・肺炎
・肝不全
といった例が挙げられています。
関節リウマチに伴う肺合併症に注意
関節リウマチがあると、次のような肺合併症が生じやすいとされています。
《間質性肺炎》
痰を伴わない咳が特徴で、関節リウマチ患者の10~30%に見られるといわれています。無症状で経過することが多く、新たな感染をきっかけに急性増悪すると生命に危険が及びます。
《薬剤性肺炎》
メトトレキサートをはじめとする抗リウマチ薬は、まれに薬剤性肺障害を引き起こすことがあります。重篤な呼吸不全に至ることが多く、その場合、入院によるステロイド治療を行います。
《呼吸器感染症》
ステロイドや抗リウマチ薬による免疫抑制によって、感染が重症化する傾向があります。本来危険の少ないカビやウイルスによる日和見感染症、結核などに注意する必要があります。
フライさんの死因は慢性関節リウマチ、急性潰瘍性大腸炎、肺炎と報道されています。後の2つについては一方が消化管の病気、一方が肺の感染症です。報告されている傾向に合致しているといえるのではないでしょうか。
平良とみさん、「敗血症」で死去~免疫力低下による日和見感染が危険~