日本テレビ「市川海老蔵に ござりまする」で元気な姿を見せてくれた小林麻央さんですが、放映日となった1月9日のブログで食欲不振を訴えています。インタビューが収録されたのは1月4日、それからほんのわずかな期間で体調に変化が見られたということでしょうか。
これまで
何があっても「食べられる」ことだけが
自信だったので、
こんなに
ただ一生懸命に食べる
ということがあるのだと、、、
知りました。
これまで乳がんのステージ4であっても、ただちに生命の危険はないと思えたのは麻央さんの旺盛な食欲のためでした。他のところでふれたように、乳がんや骨転移が直接死の原因になることは少なく、肺転移がコントロールされている現状においては長期生存も期待できると思われました。
しかし、食欲不振が続いた結果、癌患者特有の激やせにつながってしまったら話は別です。「悪液質」と呼ばれる危険な状態の可能性があるからです。
体力を奪い、食欲がなくなる悪液質とは?
末期の癌患者のイメージとして、「痩せている」というものがあると思います。このイメージは間違いとはいえず、実際にがんで亡くなる人の3分の2が痩せているといわれています。末期がんで激やせしてしまった例で思い浮かぶのは川島なお美さんではないでしょうか。
麻央さんはこれまで何度も危機な状況を乗り越えてきましたが、食欲旺盛で痩せていないことは良好な予後を期待させるものでした。この点は激やせの結果亡くなってしまった川島なお美さんとの大きな違いだったといえます。
しかし、ここにきて麻央さんにも食欲不振が起き、この先、激やせにつながるようだと危険です。癌によって痩せてしまう原因は「悪液質」だといわれています。悪液質とは正式には「がん食欲不振悪液質症候群(CACS:cancer-related anorexia/cachexia syndrome)」と呼ばれる状態です。
がん細胞はエネルギーを浪費し、なおかつ炎症性サイトカインと呼ばれる物質を作って体中に慢性炎症を引き起こします。その結果、体はエネルギー不足に陥って痩せていきます。脂肪や筋肉を失って体力が低下すると、食べるのも一苦労となり、食欲そのものがなくなってしまい、ますます体力低下に拍車がかかります。
死亡リスクを高める激やせを防ぐには
がん情報サービスHPでは、悪液質にともなう食欲不振に対して次のような対応を推奨しています。
・食べたいと思ったときにすぐに食べられるものを用意しておく
・少量の食事を小さな食器に盛る
・本人の好むものを用意する
・病状について本人と家族で話し合う
・服装を整えたり、テーブルのセッティングをするなど、落ち着いた雰囲気をつくる
幸いなことに、麻央さんは大好物だという「加島屋さんのさけ茶漬け」を食べていました。
また、母が届けてくれたという、少量で食べやすいピーナツ豆腐、菜の花、芽キャベツも添えられています。
ブログの中では触れられていませんが、テーブルのセッティングなどで良い雰囲気を作るのは姉・麻耶さんの得意分野でしょう。食欲不振が起きてはいるものの、適切な対応がとられていることが救いですね。
もうひとつ、悪液質とは別の要因で一時的に食欲が低下している可能性もあります。麻央さんは骨転移の痛みを軽減するために、緩和的な放射線治療を受けることを明かしていました。もし、すでに放射線治療を受けているとすれば、その副作用で一時的に食欲が落ちているということも考えられます。その場合には、2~3週間で食欲の回復が期待できるでしょう。
いずれにしても姉・麻耶さんの次の言葉は的を得ています。
「ここまで乗り越えて来られたのは、
まおちゃんは、どんなときでも
とにかくたくさん食べてきたからだよ。
食べるのだーーっ!!!喝」
本当にそうですね。いつものように家族の協力でこの危機を乗り越えてほしいです。