北斗晶さんの啓発活動によって、乳がん検診を受ける女性が増えているそうです。これ自体は非常に好ましい変化といえるでしょう。しかし、検診を受ける側からしてみると、どうしても拭い去れない不安がつきまといます。
なぜなら、北斗晶さん自身は毎年検診を受け、それでも乳がんの早期発見は叶わなかったからです。だから、受けても意味がない……、などということはもちろんありません。乳がん検診によって早期発見に努めるのが正解です。だけど、「せっかく検査を受けるのだから、ちゃんと見つけてほしい」と考えるのは当然ですよね。そこで、最近の乳がん検診事情について調べてみました。1回目の今回は「超音波検査の追加」がテーマです。
補助金の出るマンモグラフィ、出ない超音波検査
検診には対策型検診と任意型検診があることはご存知かと思います。対策型検診は公的な補助金が出るので、自己負担分は無料になるかまたは非常に少額で済みます。公的な資金を投入する対策型検診には、検査を行うことで集団の死亡率を下げるという目的があります。そのため、検査の効果に根拠がなければ対策型検診に採用されることはありません。マンモグラフィは、40代以降の女性の対策型検診として採用されています。
一方、任意型検診は人間ドックのように全額自己負担となります。今回のテーマである超音波検査は現在のところ任意型検診となっています。
超音波検査の追加で発見率が向上
東北大学大学院の大内憲明教授(腫瘍外科学分野)をはじめとする研究グループが、2015年11月4日付けの「Lancet」誌オンライン版に発表した内容を見てみましょう。
この研究は、マンモグラフィに超音波検査を追加することで乳がんの発見率がどの程度向上するかを調査したもので、2007年から2011年にかけて全国42の研究団体によって集められた40歳代女性7万6,196人(解析対象7万2,717人)のデータが元になっています。結果は次のようになりました。
・マンモグラフィ単独…117件(0.32%)
・超音波を追加した場合…184件(0.50%)
このように、マンモグラフィ単独よりも、超音波検査を追加した場合の方が発見率が優位に高くなることが分かりました。
また、重要なポイントとして、乳がんが進行したステージ2とステージ3以上では両者に差がないのに対し、ステージ0とステージ1では超音波検査を追加した方が発見率が高かったそうです。つまり、初期の乳がんを発見する上で、超音波検査の追加が有効であるといえます。
この研究は、今年9月に行われた厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」の中間報告にも盛り込まれており、今後、マンモグラフィと超音波検査の併用を対策型検診として行う案についても検討される可能性があります。乳がん検診における超音波検査の追加の話題については以上となります。引き続き2回目では、「3Dマンモグラフィ」を取り上げたいと思います。
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