厚生労働省は1月12日、降圧剤の副作用で2人が死亡したことを発表しました。「アジルサルタン」「アムロジピンベシル酸塩」という薬によって18人が横紋筋融解症などを発症。死亡した2人については、アムロジピンベシル酸塩によって劇症肝炎を発症したものと考えられています。横紋筋融解症は対応が遅れると命を落とすこともあります。横紋筋融解症を早期発見するにはどうしたらよいのでしょうか。
横紋筋融解症の原因
横紋筋融解症は骨格筋が破壊され、筋肉を構成するミオグロビンなどが血液の中に溶け出る病気です。特に心配されるのは、血中に溶け出た筋肉由来の成分によって腎臓が目詰まりを起こし、急性腎不全を引き起こす事態です。診断は主に血液検査によって行われ、横紋筋融解症であることが分かった場合はすみやかな水分補給と、必要に応じて透析治療を行います。
今回、降圧剤を原因とする横紋筋融解症の事例が報告されましたが、これまでも薬物による発症についてはよく知られていました。代表的なのは、コレステロールを低下させる働きのあるスタチン系の薬物です。
横紋筋融解症は筋肉の破壊が原因で起こる病気。薬以外にも、さまざまな筋活動によって筋肉が破壊される可能性があります。
・激しい筋トレ
・マラソン
・マッサージ
・喘息発作
・インフルエンザ等による筋炎
(参考:ハードトレーニングで死の危険!! 「横紋筋融解症」って?)
これらはいずれも横紋筋融解症を引き起こすことがあります。発症すると筋肉が痛い、全身がだるい、体に力が入らない、といった症状が出て、中でも特徴的なのが「ミオグロビン尿」と呼ばれるコカ・コーラのような色をした尿です。横紋筋融解症の診断には尿の色が重要な判断材料となります。そして、診断の決め手となるのが血液検査です。
クレアチンキナーゼ(CK)とは?
横紋筋融解症では筋肉が破壊されたことでミオグロビンが血中に溶け出ます。このとき、ミオグロビン以外にも、血液中に増加する筋肉由来の成分があります。それがクレアチンキナーゼ(CK)です。クレアチンキナーゼ(CK)は筋肉の収縮・弛緩のためのエネルギー供給を担う酵素の一種で、激しい運動や筋肉注射によって血中濃度が上昇します。
クレアチンキナーゼ(CK)の濃度が高いとき、ミオグロビン濃度も高くなっていると考えられます。目安としては、クレアチンキナーゼ(CK)の血中濃度が正常値の10倍にまで上昇したときに横紋筋融解症と考えられるのだそうです。
もともと健康のために使っていた薬で重篤な症状が引き起こされるのは悲しい出来事です。横紋筋融解症の診断は簡便な血液検査で行えます。血圧やコレステロールを下げる薬を使用している人は、医師に相談し、定期的に血液検査を受けるようにするとよいかもしれませんね。