死亡率の高い「膵臓癌」に検診がない理由…新しい流れとは?

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膵臓癌は癌のなかでも予後が悪いとされています。その理由は早期発見が困難だからです。そうであれば尚更のこと検診が必要なはず。しかし、大腸癌や胃癌、乳癌等の検診については積極的に取り組まれているように見えるのに、膵臓癌に関しては検診という話をあまり聞かないのはなぜでしょうか。

予後の悪い膵臓癌

膵臓癌は死亡率の高い癌として知られています。その理由は、早期発見が難しく、治療を開始する頃には既に進行してしまっているためです。治癒を期待できる外科手術を行えるのは、膵臓癌の患者全体の20~40%にとどまっています。また、手術自体も難しく、手術をした場合の5年生存率は10~15%とされています。

膵臓癌の外科手術が適応となるのは、その手術を行うことによって予後が改善すると期待できる場合に限られます。予後の改善を期待できるケースとは、遠く離れた臓器への転移がないこと、がん細胞をすべて切除可能なこと、腹腔動脈や上腸間膜動脈といった重要な血管に腫瘍が接していないこと、などが挙げられます。こうした条件をクリアーするには早期発見が重要です。

膵臓癌の検診が推奨されなかった理由

体内に癌ができると、その兆候が血液の中に現れます。これをいち早くとらえることができれば、癌の早期発見につながります。癌の兆候を示す血液中の物質をバイオマーカーといいます。これまで、膵臓癌の診断には「CA19-9」というバイオマーカーが用いられてきました。しかし、CA19-9は感度が低く、2cm以下の膵臓癌における陽性率は50%程度とされています。手術後の再発を発見するのには有効なバイオマーカーですが、早期の膵臓癌に対しては異常値を示さずに見落としにつながる可能性があります。

検診は、多くの人の中からリスクの高い人を抽出し、より精度の高い検査に進んでもらうためのスクリーニングを目的としています。この段階で多くの漏れが発生してしまうようでは検診として成り立ちません。そのため、これまで使用されてきたCA19-9に関しては膵臓癌の検診は推奨されていなかったのです。

新たなバイオマーカーへの期待

国立研究開発法 国立がん研究センターは米国国立がん研究所との共同研究によって、精度の向上を期待できる新たなバイオマーカーの研究を進めています。その研究成果は11月9日付けのオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されています。

それによると、善玉コレステロール(HDL)を形成するタンパク質のひとつである「ApoA2アイソフォーム」の量が、膵臓癌の有無と関係しているといいます。この研究においては、早期膵癌患者98例を含む252例の血液を用いてapoA2アイソフォームを測定しました。その結果、健常者に比べ、早期膵臓癌の患者ではapoA2アイソフォームが低下していました。

つまり、apoA2アイソフォームが少ない人を見つけ出す検査方法を確立すれば、膵臓癌の早期発見につながる検診も可能になるということです。これまで、血液中のapoA2アイソフォーム濃度を測定するには高価な機器を用いる方法しかありませんでした。研究チームは簡単にapoA2アイソフォーム濃度を測定できる検査キットの作製も同時に行っています。国内で、膵臓癌286例を含む904例の血液をこの検査キットで測定したところ、CA19-9に比べて、より高精度に膵臓癌を検出することができたといいます。

高い費用と時間、労力をかけて行う精度の高い検査は検診には向いていません。検診に求められるのは、簡便に行えて、常に一定水準の精度を得られる検査です。それ以上に高い精度は、スクリーニングの後に行う精密検査に求めれば良いのです。apoA2アイソフォームという新たなバイオマーカーは、一定水準の精度、そして、検査の簡便さという点においても、これまで実現されなかった膵臓癌の検診を可能にするものとして注目されています。

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