麻央の儀式化した食事は死の受容か?

cancer

年表で見る小林麻央の経過【これでスッキリ】

2017.06.25
小林麻央さんは乳がんの闘病生活の中で、何度も自らの癌に対する意識を変化させてきました。手術を成功させた直後は、たとえ可能性はわずかでも奇跡を信じて治癒を目指すと力の入った口調で述べています。一方、2016年末から続く骨転移の猛烈な苦痛との闘いを経て、奇跡を信じるという主張はほとんど見られなくなりました。ここには、ステージ4のがん患者であることの受容があったのだと思います。癌を治すというよりも、痛みをコントロールしながら長く付き合っていくという現実路線への変化です。

そして再び5月5日に更新されたブログは、麻央さんの根本的な意識の変化を感じさせるものでした。

語られなくなった子供たちとの約束

乳がんのステージ4という運命を否認し、通常は行わない手術まで決行した麻央さんでしたが、苦痛との闘いの中で癌を治すという実現不可能な目標でなく、苦痛のない日々をできるだけ延長するという実現可能な目標に目を向けるようになりました。それから僅かな期間の間に、無情にもさらなる意識の変化を強いられることになります。

歩けない、食事が喉を通らない、といった自らの病状を冷静に見つめた結果、実現可能に思えたその目標さえもが容易ならざるものであることを悟る段階に到達します。5月に入りブログの更新がなかった最初の数日の間にそれは起きたのでしょう。

5月4日のブログは子ども達に関する内容です。

そこで、

大きくなっても
相談し合えたり、助け合えたりする
姉弟でいて欲しいと願っています。

と語っています。

なんだか遠い将来を目を細めて語るような感じですよね。KOKORO.の読者の方ならご存知のように、姉弟に関してはそんな遠い将来の問題の前に、近い将来の問題があったはずです。麻央さんは姉弟と退院日について約束し、その約束が守れないことを残念に思っていたはずです。熱や炎症といった課題を一つひとつクリアーして退院するというのが直前のテーマだったのは間違いありません。

しかし、そんなことはすっかり忘れてしまったかのように語られていません。状況が変化したということでしょうか。

食事を無理に勧めなくなった家族

5月5日、「子供たちからの柏餅」という題名でブログが更新されました。

内容は、子ども達が柏餅を買ってきてくれたが自分は食べられず、
姉の麻耶さんが「お腹に入ったつもりで!」と、お腹の上に柏餅を乗せて写真を撮ったというものです。

食事ができないということが、末期がん患者にとって何を意味するのかはよく知られています。
がんが進行して各所に転移し、体内の癌細胞が増えるにつれて炎症性サイトカインが作られ、これが原因で食欲不振と筋力低下が加速して患者の体力を奪うのです。悪液質と呼ばれる状態ですが、麻央さんはそれを裏付けるような炎症や発熱についても語っていました。悪液質は非常に心配ではありますが、他でも取り上げましたのでここではこれ以上ふれないことにします。

さて、麻央さんが食欲不振にふれるのはこれが初めてではありません。約4カ月前の1月9日に「食べること 」と題し、食べることが容易ではなくなってきていると語っています。

そのとき、麻耶さんが語ったとされるのがこのセリフです。

ここまで乗り越えて来られたのは、
まおちゃんは、どんなときでも
とにかくたくさん食べてきたからだよ。
食べるのだーーっ!!!喝

ところで、今回の麻耶さんは、「柏餅を食べるのだーーっ!!!」とは言いませんでした。
なぜでしょうか?

答えは明らかです。1月時点とは状況が変わっていることを麻耶さんが承知しているからなのです

儀式化した食事…食べるから眺めるへ

柏餅は固形物の中でも柔らかい方です。中に入っているのがこしあんなら、口に含めば簡単に溶けそうです。

「一口食べてみる?」
「餡だけでもなめてみたら?」
と言いたくなりそうなものです。

以前は、「食べるのだーーっ!!!喝」とまで言った姉がそれすら言わなくなっており、ただお腹の上に乗せて写真を撮りました。その理由は、悪液質による食欲不振はがんばって食べても改善しないからです。悪液質は不可逆的であり、患者本人も苦痛を感じてまで努力すべきではないし、周囲もそれを期待するように振舞ってはいけないのです。恐らく、このことは本人にも家族にも説明があります。

こう考える人がいるかもしれません。「麻央さんが食事ができないことは分かっているのだから、食べられない柏餅を持っていくのは配慮が足りないのでは?」と。一般的にはそう言えるかもしれませんが、麻央さんとその周囲はさらにその先を行っています。たとえ、食べられないと分かっていても、食事という行為は大切にされるべきなのです。

食事は単なる栄養摂取というだけでなく、他の人とのつながりを実感できたり、文化的な充足を与えてくれたりします。愛しい子どもたちが、目の前で、おめでたい柏餅を食べること、それを眺められること、それが重要です。さらに麻耶さんは柏餅をお腹に乗せて、いつでも眺めて思い出せるように写真を撮ってくれました。まだ食べられるときには、「食べるのだーーっ!!!」と言って励まし、食べられなくなると、無理強いはせずにそっと写真を撮る。麻耶さんの対応は完璧です。

今回の柏餅をめぐる出来事は、このようにして麻央さんとその家族の現在における食事意識を浮き彫りにしています。そしてこのことは同時に、闘病生活も最終段階に入っていることを、周囲もそしておそらく本人も静かに受け入れていることを示しているように感じられるのです。

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