麻央の儀式化した食事は死の受容か?

cancer

小林麻央さんは乳がんの闘病生活の中で、何度も自らの癌に対する意識を変化させてきました。手術を成功させた直後は、たとえ可能性はわずかでも奇跡を信じて治癒を目指すと力の入った口調で述べています。一方、2016年末から続く骨転移の猛烈な苦痛との闘いを経て、奇跡を信じるという主張はほとんど見られなくなりました。ここには、ステージ4のがん患者であることの受容があったのだと思います。癌を治すというよりも、痛みをコントロールしながら長く付き合っていくという現実路線への変化です。

そして再び5月5日に更新されたブログは、麻央さんの根本的な意識の変化を感じさせるものでした。


語られなくなった子供たちとの約束

乳がんのステージ4という運命を否認し、通常は行わない手術まで決行した麻央さんでしたが、苦痛との闘いの中で癌を治すという実現不可能な目標でなく、苦痛のない日々をできるだけ延長するという実現可能な目標に目を向けるようになりました。それから僅かな期間の間に、無情にもさらなる意識の変化を強いられることになります。

歩けない、食事が喉を通らない、といった自らの病状を冷静に見つめた結果、実現可能に思えたその目標さえもが容易ならざるものであることを悟る段階に到達します。5月に入りブログの更新がなかった最初の数日の間にそれは起きたのでしょう。

5月4日のブログは子ども達に関する内容です。

そこで、

大きくなっても
相談し合えたり、助け合えたりする
姉弟でいて欲しいと願っています。

と語っています。

なんだか遠い将来を目を細めて語るような感じですよね。KOKORO.の読者の方ならご存知のように、姉弟に関してはそんな遠い将来の問題の前に、近い将来の問題があったはずです。麻央さんは姉弟と退院日について約束し、その約束が守れないことを残念に思っていたはずです。熱や炎症といった課題を一つひとつクリアーして退院するというのが直前のテーマだったのは間違いありません。

しかし、そんなことはすっかり忘れてしまったかのように語られていません。状況が変化したということでしょうか。

食事を無理に勧めなくなった家族

5月5日、「子供たちからの柏餅」という題名でブログが更新されました。

内容は、子ども達が柏餅を買ってきてくれたが自分は食べられず、
姉の麻耶さんが「お腹に入ったつもりで!」と、お腹の上に柏餅を乗せて写真を撮ったというものです。

食事ができないということが、末期がん患者にとって何を意味するのかはよく知られています。
がんが進行して各所に転移し、体内の癌細胞が増えるにつれて炎症性サイトカインが作られ、これが原因で食欲不振と筋力低下が加速して患者の体力を奪うのです。悪液質と呼ばれる状態ですが、麻央さんはそれを裏付けるような炎症や発熱についても語っていました。悪液質は非常に心配ではありますが、他でも取り上げましたのでここではこれ以上ふれないことにします。

さて、麻央さんが食欲不振にふれるのはこれが初めてではありません。約4カ月前の1月9日に「食べること 」と題し、食べることが容易ではなくなってきていると語っています。

そのとき、麻耶さんが語ったとされるのがこのセリフです。

ここまで乗り越えて来られたのは、
まおちゃんは、どんなときでも
とにかくたくさん食べてきたからだよ。
食べるのだーーっ!!!喝

ところで、今回の麻耶さんは、「柏餅を食べるのだーーっ!!!」とは言いませんでした。
なぜでしょうか?

答えは明らかです。1月時点とは状況が変わっていることを麻耶さんが承知しているからなのです。


儀式化した食事…食べるから眺めるへ

柏餅は固形物の中でも柔らかい方です。中に入っているのがこしあんなら、口に含めば簡単に溶けそうです。

「一口食べてみる?」
「餡だけでもなめてみたら?」
と言いたくなりそうなものです。

以前は、「食べるのだーーっ!!!喝」とまで言った姉がそれすら言わなくなっており、ただお腹の上に乗せて写真を撮りました。その理由は、悪液質による食欲不振はがんばって食べても改善しないからです。悪液質は不可逆的であり、患者本人も苦痛を感じてまで努力すべきではないし、周囲もそれを期待するように振舞ってはいけないのです。恐らく、このことは本人にも家族にも説明があります。

こう考える人がいるかもしれません。「麻央さんが食事ができないことは分かっているのだから、食べられない柏餅を持っていくのは配慮が足りないのでは?」と。一般的にはそう言えるかもしれませんが、麻央さんとその周囲はさらにその先を行っています。たとえ、食べられないと分かっていても、食事という行為は大切にされるべきなのです。



食事は単なる栄養摂取というだけでなく、他の人とのつながりを実感できたり、文化的な充足を与えてくれたりします。愛しい子どもたちが、目の前で、おめでたい柏餅を食べること、それを眺められること、それが重要です。さらに麻耶さんは柏餅をお腹に乗せて、いつでも眺めて思い出せるように写真を撮ってくれました。まだ食べられるときには、「食べるのだーーっ!!!」と言って励まし、食べられなくなると、無理強いはせずにそっと写真を撮る。麻耶さんの対応は完璧です。

今回の柏餅をめぐる出来事は、このようにして麻央さんとその家族の現在における食事意識を浮き彫りにしています。そしてこのことは同時に、闘病生活も最終段階に入っていることを、周囲もそしておそらく本人も静かに受け入れていることを示しているように感じられるのです。

小林麻央の乳がん10訓【真似、ダメ、絶対!】

2018.08.05


【Q&A】乳がんに負けない!免疫力を高める食事術

検査や治療だけじゃなく、自分のために自分自身ができることって何かある?

あります! それは毎日の過ごし方、特に免疫力を左右する食生活のあり方です。不確かな情報に振り回され、極端な食事療法なんてしたら、あなたの体はボロボロに……。免疫力にだって悪影響が出かねません。

基本的な食事の心構えから、どのような栄養素に注目すべきかまで、6つの「Q&A」で解説します。

Q1:がん予防、がん闘病のための食事のポイントは?

A1:神経質にならずに、しっかり食べる

がんにならないためには免疫力がしっかり働くことが大切。また、がんになってしまった後では痩せないことが非常に重要です。

小林麻央さんのケースでもそうでしたが、がんが進行すると痩せてしまい、闘病のための体力も奪われます。それを避けるには十分なエネルギー量と、タンパク質、ビタミン、ミネラルといった栄養素が不足しないようにすることが大切です。

しかし、あまり神経質にってもよくありません。一般的なバランスの良い食事をしっかり続けることを第一に考えましょう。

参考:食事と栄養のヒント(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター)


Q2:がん予防や進行を遅らせるために避けた方が良い食品は?

A2:がんの種類によっては肉や塩分を控える

基本的に、何かを避けることよりも、バランスよくしっかり食べることの方が大切です。中には避けた方がよいとされる食品もありますがごくわずかです。こちらを参考にしてください。

がんの種類によって避けたい食品
アルコール…肝臓がん・大腸がん・乳がん・肺がん・食道がん
塩分…胃がん
肉類…大腸がん・乳がん

参考:健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)



Q3:糖質は控えた方がよいのですか?

A3:極端な糖質制限は一般的には勧められない

まず、がん細胞が糖質を好むというのは本当です。例えば点滴で糖質を供給することでがん細胞が増大することはあります。しかし、糖質は正常な細胞も必要としているのでトータルで判断することが大切です。

一般的には次の理由で極端な糖質制限は勧められません。

  • 体重減少のつながる
  • 筋肉の減少につながる
  • 糖質不足は、がん細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞の働きを弱める

糖質制限でがん細胞の栄養をブロックできたとしても、がんを攻撃する免疫力が低下したり、筋肉が減って体力が低下してしまったりすれば、メリットよりもデメリットの方が上回ることになるでしょう。

参考:がん治療における糖質制限(リンパ球バンク株式会社)



Q4:積極的に摂りたいサプリメントは?

A4:筋肉の維持のためにはBCAAとEPAが有益

まず、がんは特定の食品によって治すことはできないと考えましょう。食品にできるのはあくまでも、より良いコンディションを保つこと。近年、特に重要視されているのが筋肉の維持です。筋肉が減少すると体力が低下するばかりでなく、抗がん剤治療にともなう副作用の影響を受けやすいとの指摘があります。これを避けるために筋肉の維持に役立つ栄養素を積極的に摂るとよいでしょう。

サプリメントとして摂取するならBCAAとEPAが有力な候補となります。

筋肉の材料となるのは肉、魚、乳製品などの含まれるタンパク質です。タンパク質をパウダー状にして摂取しやすくしたものがプロテインパウダーです。

タンパク質は体内で分解されるとアミノ酸になります。アミノ酸は体内で合成できる非必須アミノ酸と合成できない必須アミノ酸に分類され、特に必須アミノ酸の摂取が大切だと考えられています。

必須アミノ酸の中でもバリン、ロイシン、イソロイシンの3つはBCAAと呼ばれ、筋肉づくりと密接に結びついています。BCAAは筋肉で代謝されるのが特徴で筋肉の分解を防ぎ、筋肉の合成をサポートします。なおBCAAの中でも筋肉の合成に最も影響を与えるのはロイシンです。近年ではこのロイシンの代謝物である「HMB」が筋トレ愛好家や美容意識の高い女性の間で注目を集めています。HMBはロイシンを摂取していれば体内で作られますが、それだけでは十分な量を補えないそうです。

一方、EPAは青魚に含まれるフィッシュオイルのひとつ。血液をサラサラにする効果や、炎症を抑える効果が得られることから、医療分野でも活用されるようになっています。

参考:もっと知ってほしいがんと栄養のこと(監修:がん研有明病院 比企直樹医師)

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Q5:EPAの働きをもう少し詳しく説明してください

A5:EPAは血液をサラサラにし、運動にも良い影響を与える

EPAはもともとイヌイットの人たちの間で心臓疾患による死亡件数が少ないことから、「青魚」の摂取が関係しているのではないか、と注目を集め、研究が進んだ成分です。

現在では血液をサラサラにする効果があることが分かっています。血液がどろどろだと血管の壁が厚くなったり、血液が詰まりやすくなったりし、心臓の重要な血管が詰まると狭心症や心筋梗塞を引き起こします。血液をサラサラにすることにはこうしたリスクを下げる効果があります。

また運動の際に体の隅々まで酸素を届けるのは血液中の赤血球です。EPAの働きで血液がサラサラになれば効率よく赤血球による酸素運搬が行われ、

  • 運動中に疲れにくい
  • 運動後の筋肉痛が軽くて済む

といったメリットがあります。

なおEPAはDHAとセットで語られがちですが働きは異なります。DHAは主に子どもの脳の働きに良い影響を与える栄養素です。成人が健康づくりや筋肉維持のために用いるならEPAの方が適しています。

DHAの方が製造コストが安いため、安価なサプリメントはDHAの割合が高くなっています。できればEPA 2:DHA 1というようにEPAが多く配合されているものを選ぶとよいでしょう。

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Q6:免疫力を高める栄養素はある?

A6:ブロッコリーに少量含まれる「ブロリコ」が注目されている

まず免疫力は総合的なものです。栄養バランスの悪い食事や、カロリー不足の食事をとりながら、特定の栄養素を過剰に摂取しても良い結果は得られないでしょう。

しっかりとした食事をし、その上でプラスアルファの効果を期待するのであれば、特定の栄養素を取り入れることも有意義です。

例えば今、注目を集めている成分に、東京大学と特許を取得した「ブロリコ」があります。メーカーが明らかにしている研究データによると、次のような驚異的な数字が示されています。

「ブロリコ」の驚異的な食品活性率

  • β-グルカンの約50倍
  • メカブフコイダンの約60倍
  • DHAの70倍以上
  • アサイーの約240倍
  • プロポリスの1000倍以上

最も大切なのは、あまり神経質になり過ぎずにバランスのよい食事を続けること。そして、特定の栄養素を取り入れるときは、迷信や民間療法といった根拠のない情報ではなく、科学的な根拠(エビデンス)が示されているものの中から選ぶようにしましょう。

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