お笑いタレントの”だいたひかる”さんが3月20日、自身のブログを更新して乳がんの再発を伝えました。
がんには根治を目指す治療を行う段階と、延命や苦痛を取り除く治療の段階(根治はできない)に分かれます。例えば、ステージ3までは根治を目指せますが、ステージ4になると基本的に根治を目指した治療は行われません。
では、「再発」の場合はどうなるのでしょうか?
再発にはすごく悪いイメージがありますよね。「再発したのだから根治は難しいだろう」と考えがちです。ここでは、少し曖昧になっている、再発で根治を目指せるのかという問題を取り上げます。
だいたひかるの乳がん再発は稀なケース
だいたひかるさんの乳がん再発はとてもショックなニュースでした。
なぜなら、本来だったら再発の可能性はとても低そうに見えたからです。
まず、ステージ2Bと比較的早期に発見されたこと。根治を目指せる段階です。
そして、だいたひかるさんの選択した治療は全摘手術でした。がん細胞だけをくり抜いて乳房を残す温存治療ではありません。乳腺を全て除去する手術。考えられる中で、再発の可能性が最も低い治療法だったのです。
つまり、乳がんをかなり早めに発見し、その上、乳房の温存よりも再発防止を優先する治療を選択したにも関わらず、今回の再発に至りました。この点が、だいたひかるさんの乳がん再発が稀なケースである理由です。
本人も、「全摘でも再発するのかと不安を煽りたくない」とし、あくまでも稀なケースであることを強調していました。乳がんで闘病中の人が見ても不安にならないようにとの配慮なのでしょう。本人が一番ショックを受けているはずの状況下で他の人に配慮したコメントに対し、ネットにはだいたひかるさんの人間性をたたえるコメントと、励ましの言葉が溢れました。
このような人が、もし再発によって乳がんの根治を諦めなければならないとしたら残念でなりませんよね。
だいたひかるの乳がん再発に根治の可能性は?
結論として、だいたひかるさんの乳がん再発は、根治を目指せる段階である可能性が高いです。
その理由は、ひとくちに再発といってもその中にも段階があって、根治を目指せる段階、目指せない段階があるからです。
局所再発は根治を目指せる段階
手術で切除したのと同じ場所に、同じタイプの癌が再発することを局所再発といいます。
局所再発はひとことで言うと取り残しの結果です。手術をしたのに再発してしまうのは残念な結果ではあるものの、手術前に比べて何かが悪化したわけではありません。乳がんが次の段階に進行したわけではないのです。
局所再発に関しては再び切除を行うことで根治を目指すことができます。
一方、根治を目指せない再発は「転移性再発」になります。こちらは、骨、脳、肺といった他臓器に癌が再発するケース。この段階になると遠隔転移を伴っており、すでに癌が全身に広がっていると考えられるため、基本的に根治を目指した治療は行われません。
だいたひかるさんの乳がん再発が、局所再発にあたるのか、転移性再発にあたるのかは明言されていません。しかし、全摘した右胸にしこりが見つかったとし、それ以外の部位への再発にはふれられていないことから、局所再発であると推測されます。
乳がんの再発というのはとてもショックな出来事です。もちろん望ましいことではないものの、これによって状況が格別悪くなったというわけではないことが分かりました。だいたひかるさんは新たにできたしこりを切除し、再び根治を目指した治療を行うことができるものと思われます。
だいたひかるさんの「がんはしつこいですが、がんよりしつこく治療していこうと思います」というコメントには強い意志が込められています。ここで言う「治療」とは延命治療やQOL(生活の質)のための治療ではなく、根治を目指す治療を示していると見ることができます。