起立性調節障害になると朝起きることができず、時間通りの登校が困難になります。「やる気がない」「だらしない」と受け取られがちで、当事者は悩みながらも周囲の理解を得られず、不登校になってしまうこともあります。
こうした起立性調節障害を持つ子供の駆け込み寺になるかもしれない学校があります。それがN高等学校です。
中学生の10%を占める起立性調節障害の症状
人の体は寝ている状態から立ち上がると、下半身に血液が集まって低血圧になります。しかし、正常な人は自律神経の働きで、起立時の低血圧を未然に防ぐ調整作用が働きます。
起立性調節障害になるとこうした自律神経による血圧の調整作用が機能せず、その結果次のような症状が現れます。
・めまい
・頭痛
・イライラ
・集中力低下
・全身倦怠感
・食欲不振
・うつ症状
こうした症状のために朝起きるのが困難になり、昼夜逆転して夜寝付けなくなります。
問題は起立性調節障害の子供の割合が非常に多いこと。
日本小児心身医学会の報告によれば、
・小学生の約5%
・中学生の約10%
・10~15歳で心身症、神経症等と診断された子供の約70%
に見られるといいます。かなり多い割合ですよね。なお、男女比は1:1.5~2で女性の方が多いそうです。
登校時間に左右されないN高等学校とは?
N高等学校とは、学校法人角川ドワンゴ学園によるインターネットを使った通信教育。一般的な学校のような登校時間に左右されないので学習時間を自由に設定でき、イラストレーター、ネイリスト、パティシエ、プログラマーなど、生徒の関心に合わせた課外活動が豊富なのも特徴です。
N高等学校のHPには次のようにかかれています。
「例えば、朝起きてからの身支度やメイクの時間、そして通学時間。毎日、どうしてもかかってしまう時間があります。N高では、そのような時間はかかりません。朝起きたらすぐに学習という生活も可能です」
登校することに左右されないので、自由になる時間を有効に活用して学習できるというコンセプトは良くわかります。こうした学校であれば、学習意欲は高いのに起立性調節障害のために朝起きられない人でも高校卒業資格取得を諦めなくてもすみますね。
しかし、自由になる時間というのは、これを使って学習することもできますが、同時に何もしないことも可能です。時間通りに登校する一般的な学校に通う以上に自分を律する能力が求められるのではないでしょうか。