自民党の谷垣禎一幹事長はサイクリング中の転倒が原因で「頸髄損傷」を発症しました。
細田博之幹事長代行の説明によると、
谷垣幹事長が損傷したのは頸椎ではなく頸髄とのこと。
頸椎か頸髄かの違いは、谷垣幹事長の怪我の軽さ、または重さにどのような影響を与えるのでしょうか。
頸髄損傷① 脊髄損傷の中でも重い方?
背骨の中には脊髄という太くて重要な神経が通っています。脊髄の首の部分に相当するのが頸髄。脊髄はどの部分も重要ですが、頸部は胸部、腰部に比べて一層重要で、神経も繊細にできています。一般的に言って、頸髄を損傷するということは、脊髄の損傷の中でも深刻な方に分類されます。
頸髄損傷② 「頸椎の中に頸髄がある」
細田幹事長代行によれば、損傷したのは頸椎ではなく頸髄。しかし、ご自身も指摘しているように医学的なことは良く分からないとのことですから、この発言が正確ではない可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
脊髄は生命にとって非常に重要な組織なので、背骨によって守られています。事故によって、「背骨は損傷してしまったが中の脊髄は守られて良かった」というケースは多々あるでしょう。反対に、「背骨はなんともなかったが、中の脊髄だけが傷ついてしまった」というケースは考えにくいと思われます。もしそのようなことが頻発するとすれば、人間の骨と神経のデザインが根本的に間違っており、生命を維持するのに向いていないことになるでしょう。
谷垣幹事長が頸髄を損傷したのだとすれば、頸椎にもダメージがあったと考えるのが自然です。そして、頸椎だけが損傷している状態に比べ、頸髄を含め損傷している状態の方がより深刻といえるのです。
頸髄損傷③ 後遺症の可能性は?
頸髄からは8対の重要な神経がのびており、それぞれ運動や知覚を担っています。後遺症の種類は損傷する部位が少しずれただけでも変化し、脳に近い部分を損傷した場合の方が後遺症が重い傾向があるといいます。頸髄が傷つくということは、そこから出ている神経が麻痺することを意味し、次のような後遺症につながります。
<車椅子生活>
運動機能に障害が現れると、腕は動かせても下半身を動かすことができず車椅子での生活となります。
<感覚を失う>
知覚機能に障害が現れると、痛みや熱の感覚がなくなります。
<姿勢を維持できない>
体の姿勢を維持する腹筋や背筋といった筋肉も神経に支配されています。頸髄損傷によって筋肉が上手く働かず立っていられなくなることがあります。
<排泄機能を失う>
排泄のためには骨盤付近のさまざまな筋肉を使います。頸髄損傷によって独力での排泄が困難になることがあります。
「頸椎ではなく頸髄」という前述の説明を手掛かりに考えると、後遺症につながるような深刻な状況を連想せざるをえません。しかし、報道によれば谷垣幹事長は順調に回復中とのこと。そこで言われている回復というのが、極めて軽度の怪我から治癒にかけての回復なのか、それとも怪我直後の深刻な状態よりは良くなっているという意味での回復なのか分からないのが不安材料ではあります。「頸髄損傷」といってもそれが軽度のものであり、文字通り、治癒に向けて順当に回復されていることを願いたいと思います。
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