頸髄損傷で「会話できない」谷垣氏、後遺症のレベルは? 言語機能は?

頸髄損傷の谷垣氏は「会話できない」状態だった

頸髄損傷の後遺症が心配される自民党の谷垣禎一幹事長。ここにきて谷垣氏の回復状態が心配になる報道がありました。菅官房長官は8月3日までに人事構想を含む相談が首相と谷垣氏の間で行われることを想定していましたが、谷垣氏側からは、「当面安静が必要で、会話できる状態ではない」との返答があったということです。

文字通りに受け取るなら、現在谷垣氏は、
・安静が必要な状態
・会話できない状態
ということになります。

このような形で示された谷垣氏の病状は、現在どのような段階にあり、またどの程度の水準にあると考えられるのでしょうか。

頸髄損傷の後遺症 言語機能への影響は?

谷垣氏の後遺症を考えるとき、もっとも気になるのは「会話できる状態ではない」という発言でしょう。例えば、脳梗塞になると言語機能が失われ、言葉をよく理解できなかったり、理解はできても上手く話せなくなることがあります。

しかし、谷垣氏は頸髄損傷であり、脳が損傷しているわけではないので、言語を理解したり、発話したりといった機能に影響が出ることはありません。頸髄損傷は首から下に障害が現れます。そして、損傷した部位が脳に近い高い位置にあるほど障害の水準は大きくなります。

頸髄損傷において、口や顎の機能は残されます。そのため、もっとも障害が大きい場合でも、口や顎を使って車椅子を操作することが可能です(ただし、重度の場合は横隔膜が動かないために人工呼吸が必要になります)。

また、これまで発表された内容にどこまで信憑性があるかにもよりますが、回復は順調、意識ははっきりしており相撲を観戦、といった報道を考えると、意志の疎通に問題はなく、おそらくは人工呼吸が必要なほど重度だとも思えません。

頸髄損傷の病状 安静が必要な段階とは?

次に、「当面安静が必要」というコメントについて考えてみましょう。現在の医療は早期離床、早期リハビリが基本です。いつまでも安静にしていると筋力、体力が低下し、また、機能の回復ができるリハビリのチャンスを失うことにつながるからです。

しかし、安静が必要な時期もあります。それは脊髄ショック期、臥床期、安静期などと呼ばれる、受傷から間もない時期です。この時期は損傷した部位以外にも脊髄の機能がストップしており、腱反射の消失、閉尿や腸のぜんどう運動の停止などが起きます。その後、一時的に失われたこうした機能が回復し、損傷部位に由来する麻痺が残るかたちになります。

この期間には個人差があり、一般的には受傷後数日から1カ月程度。したがって、谷垣氏に安静が必要だとすると、脊髄ショック期の終盤である可能性もなくはありません。ただ、順調に回復といったこれまでの発表を考えると、脊髄ショック期は既に脱していると考えた方が自然かもしれません。

頸髄損傷の後遺症 会話できない状態とは?

ここからは推測ですのでそれを踏まえてお読みいただければと思います。

「当面安静が必要」という発表は、いわば電話対談を避ける口実であって、医学的に安静が必要な時期というわけではないのでしょう。実際には回復期といわれる時期、つまり、安静にしているのではなく、集中的なリハビリによって機能回復を図る時期だと思われます。機能回復の可能性は受傷から時間が経つほど低くなっていき、一般的には6カ月目以降になるとあまり回復しないといわれています(中には少しずつ回復する人もいます)。

では、なぜ「安静が必要」などというのでしょうか。「今は回復にとってとても大事な時期だからリハビリに集中したい」という理由で電話相談を断っても良いように思います。しかし、回復期というのは不自由なく会話できますから、これでは「電話対談ぐらいはできるだろう」と相手は引き下がらないでしょう。

それに、回復期がどういう時期なのかを説明し、納得してもらうのにも時間がかかります。そこで、厳密にいえば事実と異なりますが、説明ぬきで相手が納得しやすい「安静が必要」にしたのではないでしょうか。ここでいう安静が必要とは、「医師の管理のもとでリハビリを含む医療行為が必要」程度の意味、これがひとつ目の推測です。

もうひとつの推測ですが、こちらはあまり望ましいものではありません。
それは、本当に会話ができないような状態にあるケース。先にも確認しましたが頸髄損傷は、言語機能そのものに問題が生じるものではありません。しかし、姿勢を維持しながら電話をするのが困難な状況なら生じえます。体幹の機能が失われ、しっかり座っていることがきないので、一定時間の対話が困難か、または非常に大きな努力を要するということならあり得ます。

以上から、「当面安静が必要で、会話できる状態ではない」の意味することは、
1 脊髄ショック期である
2 電話に必要な姿勢を維持する能力を欠いている
3 回復期の大切な医療行為の最中である

1の可能性は低い気がします。2の可能性はありますが、望ましくありません。3の可能性が高く、またそうあってほしいと思います。

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