キスマークで死に至る?
血栓がキスマークによって作られる可能性があるそうです。
メキシコで17歳の少年が突然死。どうやら、脳の一部の血流が途絶え、脳細胞が壊死してしまう脳梗塞だったようです。少年の若さを考えると、脳梗塞による死は稀な例とはいえるものの、ここまでなら十分に起き得る事例。
このケースが特殊な点は、脳梗塞を引き起こした原因です。少年は年上のガールフレンドにキスマークを付けられており、これが脳梗塞の原因になったのではないかと家族らはキスマークを付けた女性を非難しているのだとか。
これが本当なら、まさに死の接吻ということになりますが、実際、そんなことがあり得るのでしょうか。
キスマークで血栓が作られる?
キスマークが原因で脳梗塞になるというのはにわかには信じられませんよね。しかし、「血栓」(けっせん)というものの存在に注目すると、そういったケースも生じるのではないかと思えてきます。血栓とは血管内にできた血の塊のこと。これが脳に移動すれば脳梗塞を引き起こす可能性があるのです。
血栓で死亡する理由は?
血栓が死亡原因になる理由は、心臓、脳、肺、腎臓といった重要な臓器付近の血液の流れをせき止めて臓器を壊死させたり、機能を低下させたりするためです。
動脈硬化という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは、血管の中に脂肪などでできたプラークが溜まった状態。動脈硬化は血管を狭くしてしまうので、それ自体が血流に悪影響を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
さらに問題なのが、血管に溜まったプラークから血の塊である血栓が作られ、これが血流に乗って移動することで、離れた場所の細い血管をせき止めて、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことです。
血栓が作られやすい頸部頸動脈狭窄症
キスマークが付くほどの強いキスによって血栓が作られる理由は何でしょうか。そういうことが起きるとすれば、皮膚の表面だけでなく、その直下にある血管も傷つけられるためなのでしょう。
もうひとつ重要と思われる要素があります。それは、既に頸動脈が狭くなっていたケース。プラークによって頸動脈が狭くなる病気に頸部頸動脈狭窄症というものがあり、脳梗塞のリスクを高めるために手術を選択することもあります。頸部頸動脈狭窄症は狭窄の度合いが大きいほど脳梗塞を引き起こしやすいといわれています。また、潰瘍と呼ばれる窪みができると血栓が遊離しやすいのだそうです。
個人的にはキスマーク程度で脳梗塞というのは、ちょっと信じられない気がします。ただ、高血圧、高脂血症、糖尿病のため動脈硬化が進み、既に頸部頸動脈狭窄症となっていた人で、潰瘍までできていたような場合に、悪いことが重なって強すぎるキスが引き金となって発症することはあるのかも知れませんね。
予防という観点からは、頸動脈のある首筋に執拗にキスをしないということもありますが、それよりも動脈硬化や頸部頸動脈狭窄症につながる高血圧、高脂血症、糖尿病といった病気の予防や治療を進める方が現実的かもしれません。
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