米俳優のチャーリー・シーンさんがHIV感染を公表し、口止め料を払っていた事実や、騙されていたという女性が現れるなど大きな騒動に発展したようです。HIV感染とは、ひとことでいえばエイズの原因です。しかし、HIV感染とエイズの間には大きな違いがあります。
エイズの治療を行わないと予後は2~3年、しかし……
エイズを発症し、治療しないままでいると予後は2~3年とされています。治療によって生存年数は向上しますが、一番良いのは発症前に抑えることです。エイズになってからの治療よりも、エイズを発症する前の治療の方が格段に優れています。薬の進歩によって適切に治療を行えば、エイズの発症を抑えて、健常者とほとんど変わらない生活を送ることも可能です。
約10年の「無症候期」とは?
HIVに感染してもすぐにエイズを発症するわけではありません。HIVに感染すると2~3週間後にカゼに似た発熱や筋肉痛を生じますが、その後は症状のない状態が長期間続きます。
感染後6~8か月後にウイルスの量がピークを迎えた後は、一定水準まで減少していき、約10年間は症状のでない「無症候期」が続きます。しかし、その間に治療を行わずにいると、普通の免疫状態ではほとんど見られない「日和見感染症」や「悪性腫瘍」といったエイズに特徴的な病気が現れます。
無症候期の間に発見できるかがカギ
エイズの発症前に治療を開始するのと、発症後とでは大きな違いがあります。現在では、複数の薬を併用する「多剤併用療法」によって、ウイルス量を測定感度以下まで抑えることができます。HIVに感染していてもエイズを発症しなければ、普通の人と同じように日常生活を送ることができます。無症候期は比較的長いものの、症状が出ないので検査を受けなければHIV感染を発見することができません。よく指摘されることではありますが、HIV感染への対策においては、早期発見のための検査が非常に重要になります。
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