白血病が見つかったJ1リーグ・アルビレックス新潟のDF早川史哉さんは、現在「寛解」(かんかい)に向けた治療を開始しているそうです。ここでは急性白血病における寛解と、復帰の可能性について見てみましょう。
関節リウマチにおける「寛解」の例
病気が治って元通りになることを治癒といいます。しかし、病気の中には完全には治らないものや、治っても何らかの障害が残ってしまうものがあります。例えば関節リウマチの例でいうと、7割程度の人は痛みも治まり、病気の進行も止まっている「寛解」に至ります。しかし、薬を減らしても再発の心配がない完全寛解に至るのは全体の3%程度だと言われています。
このように治癒に近づいており、痛みなども消えているが完全に治ったわけではない、条件付きの良い状態を寛解と呼びます。
急性白血病における「寛解」
マウスを使った実験によると、急性白血病の原因となる白血病細胞を1つ残らず消失させることはできないそうです。そのため、急性白血病においては治癒ではなく、寛解が目標になります。
急性白血病における寛解とは、骨髄中の正常な白血球、赤血球、血小板を回復させることです。患者の体内には当初約1兆個もの白血病細胞がありますが、これを10億個以下に減少させることが目標になります。
そして、血球数が正常に戻り、白血病細胞の臓器浸潤が消失すると「完全寛解」と診断されます。
完全寛解に至っても体内には10億個以下の白血病細胞が残っており、再発の可能性があります。目安としては3年間完全寛解が続けば再発することはほとんどなく、5年間完全寛解が続けば治癒とみなすことができるといわれています。
白血病から復帰したサッカー選手の例
元プレミアリーグAston Villaのスティリヤン・ペトロフ選手は過去に白血病を乗り越えて復帰を果たしています。
ペトロフ選手が白血病と診断されたのは2012年3月のこと。2013年5月には現役引退を発表しますが、翌年にはセントラル・ウォリックシャー・リーグ(オーバー35大会)で3試合に出場。ペトロフ選手の場合は試合に出場した後も薬による治療を継続しました。試合出場までに3年経っていないことから、完全に治癒する以前に試合に出ていたと思われます。
早川史哉さんは急性白血病による過酷な闘病生活を余儀なくされていますが、復帰の例があるのは心強いですよね。まずは、完全寛解に至り、そこから3年、さらには5年と良い状態をキープし、再びサッカーをプレーする姿を見せてくれることを願いましょう。
新潟DF早川史哉「急性白血病」 生存率30%、タイプによっては80%