吉野ゆりえ サルコーマ① 平滑筋とは?
元プロ競技ダンサーの吉野ゆりえさんが後腹膜平滑筋肉腫との闘病生活の後、7月30日に亡くなられました。聞きなれない病名ですが、それもそのはず、10万人に1人に発症する非常に稀ながんだからです。
平滑筋というのは筋肉のひとつ。私たちの体には平滑筋と横紋筋という筋肉があります。いわゆる「筋肉」という言葉で連想するのは骨格筋の方で、こちらは横紋筋でできています。では平滑筋とは何かというと、胃や小腸・大腸などの消化管や、膀胱、子宮、血管といった管状、袋状の組織の壁に相当します。筋肉ではありますが、実際には臓器の構成要素と考えるのがよいでしょう。
吉野ゆりえ サルコーマ② 肉腫とは?
サルコーマ(Sarcoma)は日本語でいうなら肉腫。肉腫とは骨、脂肪、筋肉、神経等から発生するがんのこと。よく耳にするものとしては「骨肉腫」があり、これも肉腫のひとつです。肉腫の内、骨以外の脂肪、筋肉、神経などから発生するものを特に軟部肉腫といいます。軟部肉腫の約4割は四肢に発生するといわれています。
吉野ゆりえ サルコーマ③ 後腹膜とは?
吉野ゆりえさんの場合は「後腹膜平滑筋肉腫」でした。後腹膜というのは、腹膜の外側を意味します。腹膜の外側に発生する肉腫を後腹膜肉腫といいます。
先に見たように平滑筋というのは筋肉ではありますが、臓器の構成要素です。腹膜の外にある、内蔵を構成する軟部組織からがんが発生したので「後腹膜平滑筋肉腫」という病名になります。
吉野ゆりえ サルコーマ④ 腹膜播種…医療ミス?
がんで怖いのは転移ですが、後腹膜平滑筋肉腫は腹膜の近くということもあり、腹膜播種という転移の仕方をすることがあります。腹膜播種というのは腹膜内で小さながん細胞がまき散らされてしまう状態。手術で取り切ることが非常に難しくなります。吉野ゆりえさんの場合も播種があったそうです。
吉野ゆりえさんのインタビュー記事の中に、医療ミスを指摘する内容のものがありました。最初は良性と診断され、割とあっさりと切除したのだそうです。このとき採用されたのが腹腔鏡手術という方法。開腹手術に比べて傷口が小さいというメリットがありますが、炭酸ガスでお腹を膨らませて手術をするので、微細ながん細胞が還流してしまう危険も指摘されています。
がんだと分かっていれば対策もしたでしょうが、良性との診断に基づいて手術をしていますから、対策も十分でなかった可能性があります。吉野ゆりえさんの証言の通り、医療ミスによる腹膜播種が起きたのだとすればやるせない気持ちになりますよね。
降圧薬「アジルサルタン」「アムロジピンベシル酸塩」で発症!「横紋筋融解症」が疑われる場合とは?