大阪大学・磯博康教授と国立がん研究センターなどの研究チームは、朝食をとる習慣と脳血管障害との関連を調べた研究成果を米医学誌に発表しました。研究は、45歳~74歳の男女約8万人を約13年間追跡し、朝食をとるかどうかが、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や虚血性心疾患(心筋梗塞、急性心臓死)の発症とどのように関わるのかを分析しています。
それによると、調査対象となった約8万人の内、脳卒中を発症した人は3772人、虚血性心疾患を発症した人は870で、前者では朝食との関連が認められ、後者では認められませんでした。
朝食抜きは脳出血リスクを36%高める
毎日朝食をとる人を基準にした場合、朝食を週に0~2回しかとらない人は脳卒中リスクが18%高くなることが分かりました。なかでも、脳の血管が切れて脳内で出血する脳出血の割合が高く、それに比べると、脳の血管が詰まって脳が壊死する脳梗塞の割合は低めでした。朝食を週に0~2回しかとらない人は毎日とる人に比べ、脳出血のリスクが36%高かくなったそうです。その理由は、脳出血は脳梗塞以上に高血圧の影響を受けるためと考えられています。
参考:脳出血の原因になる高血圧は突然死のリスクを高める
朝食が「朝の血圧上昇」を抑制する
高血圧の人が午前中に脳梗塞や心筋梗塞を発症しやすいことはこれまでも知られていました。朝目覚めると、私たちの身体は活動にそなえ、体の隅々に血流を送り込むために血圧を上げます。これを「早朝高血圧」といいます。
早朝高血圧は誰にでも見られる体のメカニズムですが、高血圧の人は上がった血圧が下がりにくく、リスクの高い状態が続きがちです。高血圧を緩和するには運動、ストレス解消、そして朝食の摂取が有効です。朝食をしっかり食べると、目覚めのスイッチが入り、日中に活発に活動することができます。そして、夜になれば自然に眠くなり、質の良い睡眠を得られやすいと考えられます。
血圧は体の中の塩分濃度を低下させることで低下します。そのためには、塩分を排出する働きのあるカリウムなどのミネラルの摂取が有効。カリウムはバナナに豊富に含まれています。高血圧で、なおかつ忙しくて朝食を摂る時間のない人は、バナナを1本食べることから始めるとよいかもしれません。
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