失明危機!? キャノン砲 演出で眼球破裂
キャノン砲というちょっとこわい名前のライブ演出で事故が起きました。福山雅治さんのライブ終盤で、巻かれた紙テープを発射装置から勢いよく発射した際、これが42歳女性スタッフの右目に直撃。女性は眼球破裂の重症をおいました。この演出を「キャノン砲」と呼ぶのだそうです。
今回はキャノン砲が当たってしまったことによる眼球破裂でした。眼球破裂が生じやすいケースは木の枝が眼に刺さったり、ボールが眼に当たったりといった場合です。野球やソフトボールのファウルボールが当たって眼球破裂に至ることがあります。同じく眼のケガで、ボールが当たったときなどに起きやすいものに眼窩底骨折というのをよく耳にします。眼球破裂と眼窩底骨折、どちらが重いのでしょうか。また、失明リスクについてはどうなのでしょうか。
失明リスクは小さい眼窩底骨折
眼球が収まっているくぼみを眼窩といいます。眼窩を構成する骨は下方と内方の壁は薄くできています。そんため、スポーツなどで目に強い力が加わると、眼窩内の圧が高くなって薄い下方や内方の壁が骨折します。
しかし、この眼窩底骨折で失明にいたるのは非常に稀です。眼窩底骨折が起きることで眼球に加わる圧が下がり、眼球破裂を防いでいるともいえます。
失明リスクの高い眼球破裂
眼球破裂は眼科で扱われる外傷の中でもっとも重いものに分類されます。
眼窩底骨折では眼球は守られていましたが、眼球破裂は眼球が直接傷つき、眼の中身がそとに出てしまっています。視力が元通りになることはほとんどないとされています。
眼の中身がほとんど出てしまった場合や、神経の集まる網膜が大きく損なわれている場合は失明の危険が高くなります。眼球破裂は緊急手術が必要で、まずは傷口を縫う一次縫合という処置を行います。その後、2週間ほど経って落ち着いてから重症度に合わせて2次手術が行われます。残念ながら、眼球破裂は失明することが多いといわれています。
このように眼窩底骨折と眼球破裂では重症度が全く異なります。眼窩底骨折で失明の可能性は非常に低いのに対し、眼球破裂でははるかに失明しやすくなります。眼球破裂は眼に関する怪我の中でも最も避けたい事態なのです。