声優の松来未祐さん(38)が10月27日に亡くなられていました。松来さんは、今年7月に急性肺炎で入院し、療養を続けていましたが、死因については肺炎によるものなのか、他の疾患によるものなのか等の報道はなされていないようです。
(※12月15日の続報により、松来さんの死因が「慢性活動性EBウイルス感染症」であることが分かりました)
肺炎というと、ひと昔前には重病とされていたかも知れませんが、現在では、高齢者の方ならいざ知らず、若い人が命を落とす病気というイメージはないと思います。そうすると、特殊なタイプの肺炎なのでしょうか? ネット上にさまざまな憶測が流れる中、「急性肺炎」と「間質性肺炎」という病名が上がっています。この2つは、肺炎の中でも特殊なタイプのようです。違いを見てみましょう。
突然重い症状が出る「急性肺炎」
肺炎は基本的に細菌やウイルスへの感染で肺に炎症が起きる病気です。呼吸が苦しくなり、強い胸痛が生じ、高熱が出ます。初期症状は咳が中心ですが、次第に痰がでるようになり、痰に血が混じることもあります。突然発症するものを急性肺炎と呼びます。
肺炎にはさまざまな種類がありますが、急激に進行する危険が高いものに、細菌やウイルスではなく、アレルギー反応によって引き起こされる急性好酸球性肺炎があります。原因になりやすいのはタバコです。禁煙していた人が、久しぶりにタバコを吸ったときに起きやすいといわれています。この他、カビ、ほこり、ダニなども原因になります。
急性好酸球性肺炎になると、数日から数か月で発熱や咳の症状が出ます。若い人でもかかることがあり、中には発症から1週間程度で亡くなってしまうケースもあるそうです。
「間質性肺炎」が他の肺炎とは異なる理由
間質性肺炎には他の肺炎とは異なる大きな特徴があります。通常の肺炎は、肺の中にある肺胞という空気をためておくための袋の中に炎症が生じます。これに対して、間質性肺炎は肺胞ではなく、肺胞の薄い壁(間質)に炎症が生じます。
間質性肺炎には、加湿器や空調機のカビといった原因となる物質があります。治療では原因物質を特定し、抗ウイルス薬や免疫抑制剤を用います。たちが悪いのは、原因がはっきりしない特発性間質性肺炎とよばれるタイプで、咳や息切れといった自覚症状が現れてから3~5年で亡くなってしまうことが多いとされます。肺の機能が低下すると、体の酸素が足りなくなる低酸素血症を引き起こします。特に夜間の酸素不足は危険なため、機械を使って高濃度酸素を吸引する在宅酸素療法が必要になることもあります。
松来さんの正確な死因は不明ですが、年齢も若く、入院治療も受けていたにも関わらず悲しい結果となったことを考えると、特殊なタイプの肺炎に苦しまれていたのだろうかと想像力が働きます。声の魅力とユニークな人柄で私たちに元気を与えてくれた松来さんのご冥福をお祈りします。
松来未祐さんの死因明らかに…EBウイルスが危険なとき、危険でないとき