3月22日、厚生労働省は「ロキソプロフェンナトリウム水和物(経口剤)」を重大な副作用を伴う薬品にあたるとして医療機関に注意を呼びかけました。
このことは頭痛、歯痛、生理痛などの鎮痛に幅広く使われているロキソニンに思わぬ危険が伴う可能性を示しています。特に注意を要するのは小腸・大腸の閉塞です。
ロキソニン使用でこの症状がでたら要注意
指摘されているロキソニンの副作用には次のものがあります。
・腹部膨満等の症状
・腹痛
・悪心・嘔吐
いずれの症状も腸の内容物が上手く排出されないことによって引き起こされます。ひとことでいうと便が詰まっている状態。重症になると腸閉塞に発展し、手術が必要になることもあります。
腸閉塞のは2種類ある
腸閉塞とは便が詰まってしまっている状態を指し、「イレウス」とも呼ばれます。大きく分けて機械的イレウスと機能的イレウスがあります。
<機械的イレウス>
大腸がんや卵巣がん、胆石等によって腸管が物理的に圧迫されている状態です。異物を飲み込んだり、消化の悪いものを大量に摂取した場合もこれに該当します。
<機能的イレウス>
腸管が物理的に詰まっているわけではありませんが、運動麻痺や痙攣によって便の流れが悪くなった状態です。腹膜炎や開腹手術による腸の癒着が原因になります。
腸閉塞の治療方法
腸閉塞の治療の基本は、腸を休ませながら水分調整を行って腸の正常な働きを促すこと。そのために、絶食と点滴をまず実施します。おなかの張りが強い場合は、鼻から腸まで管を入れて内容物を取り除きます。
症状が重い場合は、手術が必要になることもあります。手術では癒着があれば剥がし、捻じれがあればこれを解消し、血流不足で壊死している箇所があれば切除して、分離された腸の両端を結びつける吻合手術を行います。
自然に便を排泄することができない場合は人工肛門を設置します。ただし、人工肛門には「永久的人工肛門」と「一時的人工肛門」があり、腸閉塞に対して行われるのは後者です。腸の機能が回復してから人工肛門を取り外し、再び肛門から排泄できるようになります。
ロキソニンの副作用による重い腸閉塞のリスクがどの程度なのかは不明ですが、人工肛門の設置は多くの場合、大腸がんに合併する腸閉塞に対して行われるものです。ロキソニンは鎮痛にとても便利な薬。重大な副作用があったことは残念ですが、あらかじめそのことを知っておけば、軽度の腹部膨満感に気づいた段階で使用を止めることができます。特に頻繁に使用する人は、普段からお腹の調子に気を配った方がよさそうですね。
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