ゾメタとは「ゾレドロン酸」のことで、骨のがんの治療に用いられます。小林麻央さんはステージ4で肺と骨に遠隔転移があることを明かしていました。
ゾメタを投与しているということは、骨への遠隔転移に対する治療。とりわけ痛みへの対処であると考えられます。
ゾメタは骨量を回復するための薬
がんに伴う苦痛の中でもとりわけ激痛といわれているのが骨転移です。小林麻央さんはブログを始めて間もない時期に痛み止めを使用したことを明かしていますが、これも骨転移の痛みだったと思われます。
ゾメタは、がんを縮小する効果のある抗がん剤のような薬ではありません。あくまでも脆くなりがちな骨を強くし、痛みを取り除くことを目的とした対症療法です。
骨は常に新陳代謝を繰り返し、骨を破壊する破骨細胞と、骨を作る骨芽細胞のバランスの上に成り立っています。ところが骨転移があると、骨を作る骨芽細胞の働きが鈍くなり、カルシウムなどの骨の成分が血中に溶け出る割合が多くなってしまいます。
ゾメタは骨を破壊する破骨細胞にアポトーシス(細胞の自然死)を引き起こします。これによって破壊に傾きがちな骨のバランスを調整し、骨量を増加させることができます。
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ゾメタはモルヒネでも抑えられない骨の痛みを取る対症療法
骨の痛みは強烈です。とくに骨が脆くなって骨折を伴う場合は激痛だといいます。例えば、高齢になると骨が脆くなります。そして、尻もちをついたりしただけでも背骨を骨折してしまうことがあります。この高齢者に多い圧迫骨折も身動きできなくなるほどの強烈な痛みを伴うことで知られています。圧迫骨折では、背骨が不安定だと痛みが増すのでコルセットで固定して骨折して不安定になった背骨に負担がかからないようにします。また、コルセットによる保存療法で改善を期待できない場合は、骨折した背骨に骨セメントを入れて固定する方法、さらには、背中を切開して金属のプレートとねじで背骨を固定する方法を用います。
骨転移による骨の痛みと、加齢に伴う圧迫骨折による骨の痛みを単純に比較することはできませんが、骨が不安定になれば痛みが強まり、反対に安定性が高まれば痛みが軽減するという点は共通しています。骨転移に対して薬を使って骨の安定性を高めれば痛みの軽減に役立ちます。
破骨細胞の活動を阻害することで骨の吸収を防ぐ薬のことを「ビスホスホネート」といいます。日本で使われているビスホスホネートにはアレディアとゾメタがあります。
<アレディア>
骨折やまひなどの合併症が約30%減少
月に1回2~4時間の点滴
<ゾメタ>
骨折やまひなどの合併症が約40%減少
3~4週ごとに15分の点滴
(進化するがんの骨転移治療、最新医療情報HPより)
このようにゾメタは投与の頻度こそ高めですが、一回あたりの投与時間が15分と短時間で済むため、患者の負担の軽減に役立っています。骨転移に伴う痛みはモルヒネでも抑えきれないことがあるといいます。その痛みを取る上で、簡便かつ有用なのがゾメタという薬。ゾメタが保険適用となったことでアレディアはあまり使われなくなったともいわれています。ただし、発生頻度は少ないもののゾメタには腎障害、顎の骨の壊死という副作用が報告されています。小林麻央さんには副作用に細心の注意を向けつつ、痛みから解放された生活を送ってほしいですね。