食道がんには2つのタイプがあります。逆流性食道炎などの慢性的な炎症で原因になる「腺がん」と、飲酒・喫煙が原因になる「扁平上皮がん」です。日本の食道がんの多くは扁平上皮がんのため、予防のためには飲酒・喫煙を控えることが大切です。
飲酒・喫煙習慣がリスクを高める
40~69歳の男性約4万5000人を14年間追跡した調査が行われました。この内、食道がんにかかった215名の習慣を分析したところ、次のことが分かりました。
まず、日本酒にして1日1合以上の飲酒の習慣がある人から食道がんのリスクが上がっていき、1合から2合のグループで2.6倍、2合以上のグループでは4.6倍も罹患率が高くなりました。
次に、喫煙習慣についてです。過去に喫煙経験のある人は非喫煙者に比べて3.3倍、現在も喫煙している人になると3.7倍罹患率が高くなりました。
お酒に弱いヘビースモーカーは特に危険!?
お酒に強いかどうか(お酒を飲んで顔が赤くなるかどうか)と食道がんとの関係については、直接的な因果関係は認められなかったものの、、ヘビースモーカーでなおかつお酒に弱い人に関しては、食道がんとの関連が確認されたといいます。お酒に弱いかどうかが大腸がんリスクに影響するのはヘビースモーカーの場合に限られるという不思議な結果となりました。
おそらく、お酒を飲んですぐに顔が赤くなる人はお酒に含まれるアセトアルデヒドを分解する働きが弱く、これを補うために活発になった別の酵素が、同時に、たばこに含まれる発がん物質の作用を促進してしまうのではないかと考えられています。飲酒・喫煙習慣があり、お酒が弱いという人は食道がんに注意する必要がありそうです。
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