「機動戦士ガンダムSEED」シリーズで知られる脚本家・両澤千晶さんが大動脈解離で亡くなられたそうです。大動脈解離は動脈硬化を背景とする病気で、年齢が高くなるほど発症しやすくなります。中年期は男性に多くみられますが、年齢が高くなるほど男女差が無くなり、80歳以上になると女性の罹患率が高くなります。また、大動脈解離によって短期間で亡くなるケースに関しては、高齢者、そして女性に多い傾向があるとの報告もあります。
両澤さんは56歳という若さでした。一般的には男性の方が大動脈解離のリスクが高くなる年齢層に属しています。大動脈解離は動脈硬化を背景とする血管の病気です。血管年齢が進んでいたり、高血圧といったリスクを抱えられていたのかもしれません。ここでは若い人でも注意が必要な大動脈解離のリスクについて見ておきましょう。
血管年齢がリスクを高める
大動脈解離は、背骨に沿って走る最も太い血管である「大動脈」の内側の壁が剥がれ、血液がにじみ出たり、血流の異常が生じたりする病気。早期に治療を行わないと死亡する危険が高くなります。
大動脈解離を発症する可能性が高くなる要因に「血管年齢」があります。血管年齢とは、動脈硬化の進行具合から判断された血管の年齢のことです。実年齢よりも若い血管の人もいれば、実年齢よりも老いた血管の人もいます。大動脈解離は高齢者に多い病気ではありますが、若い人でも血管年齢が高ければ発症するリスクはそれだけ高くなります。
高血圧が危険な理由
高血圧、高脂血症、喫煙、肥満、糖尿病は動脈硬化を進行させる危険因子とされています。
(参考:俳優・藤村俊二さん「動脈硬化」で引退!? 怖いのは血栓! 5つの危険因子とは?)
中でも高血圧は、大動脈解離のリスクが高くなるので注意が必要です。まず、高血圧になると、常に血管に負担がかかるようになり、それだけ早く動脈硬化が進んでしまいます。それに加え、高すぎる血圧が血管を傷つけ、裂け目を作ることで大動脈解離発症のきっかけとなってしまいます。
高血圧を改善することは、大動脈解離だけでなく、心疾患や脳出血による突然死を防ぐことにもつながります。適度な運動や、魚に含まれるEPAやDHAの摂取は高血圧を改善してくれます。反対に、喫煙習慣、塩分の摂り過ぎ、そして、朝食を抜く、などは高血圧を引き起こす要因となります。特に血圧の高い人はこうした生活習慣に気をつけたいですね。