熊本市中央区の避難所で「黄色ブドウ球菌」を原因とする黄色ブドウ球菌食中毒が発生したことが分かりました。保健所の調査によって、発症した人の便やおにぎりから黄色ブドウ球菌が発見されており、原因は避難所で配られたおにぎりであると断定されています。避難を余儀なくされ、厳しい状況に置かれている人たちが、これ以上大変な思いをしなくても済むように願いたいものです。黄色ブドウ球菌食中毒にはいくつもの特徴があります。
穀類、およびその加工食品が原因になりやすい
黄色ブドウ球菌は自然の中にあるありきたりな菌で、人の皮膚にも存在します。菌を保有していても症状が出ないことを「キャリア」といいます。
黄色ブドウ球菌が引き起こす病気には、皮膚感染症、肺炎、骨髄炎などがあり、食中毒もそのひとつです。食中毒の原因になる食品は穀類及びその加工食品が最も多いといわれています。
<黄色ブドウ球菌食中毒の原因となる食品>
穀類とその加工食品
弁当
生クリーム・カスタードクリーム
加工肉類
魚類
熱に強いエンテロトキシンがやっかい
典型的な食中毒のプロセスは次のようになります。
・調理する人の手から食品に黄色ブドウ球が取り込まれる
・食品の中で菌が増殖し、エンテロトキシンという毒素を作る
・毒素を含んだ食品を食べた人が発症する
重要な点は、食中毒症状が菌そのものによってではなく、菌が作るエンテロトキシンによって引き起こされることです。やっかいなことに、菌そのものは熱に弱いものの、エンテロトキシンは耐熱性の毒素。従って、菌が人の手から食品に移り、そこでエンテロトキシンが作られた後で加熱処理したとしても食中毒を防ぐことができません。
基本的なことですが、下記の予防法を徹底することが大切です。
・調理をする人は手指をよく消毒する
・調理の際は手袋をする
・食品を10℃以下に保つ
黄色ブドウ球菌食中毒は潜伏期間が非常に短く、平均で3時間程度とされています。幸いなこと多くの場合、症状は12時間程度で治まります。報道によれば、症状を訴えた34人全員が快方に向かっているとのことです。
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