数日前から高熱が続いていた高須クリニックの高須克弥院長は、ついに手術が必要になり、現在は術後の絶食中だとか。高須院長の病気は感染性肝嚢胞だそうです。あまり耳にしない病気ですよね。そもそも「嚢胞」とは何でしょうか? 肝臓以外にも色々あるのでしょうか。
嚢胞(のうほう)って何?
嚢胞とは、体の中に袋状の病変ができたものです。中身はさまざまで、肝臓や腎臓にできる嚢胞には水分、肺にできる嚢胞には空気が入っています。
人間ドックなどの検査で偶然見つかることが多く、悪性腫瘍とは異なり、ほとんどの場合は無害ですが、感染が生じたり、あまりにも大きな嚢胞の場合は治療が必要です。
すごく沢山種類がある嚢胞
嚢胞は体のいたるところにできます。以下はその一例です。
<腎嚢胞>
腎臓にできる嚢胞。AKB48の峯岸みなみさんが2014年に発症しました。基本的にあまり害はありませんが、5cm以上になると腰に痛みを感じたり、血尿が出たりします。
<歯根嚢胞>
歯の治療をした後、特に神経を取る根管治療をした際に歯の根に細菌が残っていることがあります。歯の根の近くに炎症が起き、レントゲンで見ると黒い影ができます。大きく腫れたり、歯茎から出血したりといった症状が出ます。もう一度根管治療をやり直すか、場合によっては抜歯が必要になります。
<乳腺症の人にできやすい嚢胞>
乳腺症の人は乳腺がつまりやすいので嚢胞ができやすくなります。嚢胞自体に害はあまりなく、自然消滅を待つか、大きなものは針で刺してつぶします。ただし、乳がんとの区別が難しいことがしばしば問題になります。
<くも膜嚢胞>
頭蓋骨の中のくも膜という場所にできる嚢胞。生涯にわたって何の症状も現れないことが多いのですが、外傷を負って出血すると硬膜下血腫などの合併症が生じます。ただし、そのようなことが起こる可能性は低く、確率は0.1%以下とされています。なお、よく耳にする「くも膜下出血」の原因は脳動脈瘤で、くも膜嚢胞とは全く別のものです。
<チョコレート嚢胞>
古い血液が卵巣にたまって嚢胞となったものです。子宮内膜症のひとつで、古い血液の色がチョコレートのように見えることからこの名前が付けられました。痛みを伴うことがあり、不妊の原因としても知られています。
このように、さまざまな種類がある嚢胞は基本的には害の大きな病変ではありません。ただし、大きすぎたり、できる場所が悪かったり、高須院長のように感染が生じた場合は治療の対象となります。