11月4日、最高裁大法廷は「再婚禁止期間」をめぐる弁論を開きました。通常、最高裁では上告を棄却する場合、弁論を開かないそうです。弁論が開かれたことで、民法の「再婚禁止期間」が「法の下の平等」を定める憲法に違反するとした30代女性(広島県)の主張が認められる可能性が出てきました。
議論の争点は?
民法には、女性だけが離婚後6か月間再婚ができない「再婚禁止期間」があります。もともとは、離婚後に生まれた子どもの父親をめぐって争いが起きるのを防ぐために明治時代に作られた法律です。明治時代の家制度では、とりわけ長男の役割が重要で、誰が財産を継ぐ人なのかを明確にしないと大きな混乱が起きる恐れがありました。
また、現在においても民法では、離婚後300日以内に生まれた子を前夫の子と推定するとしています。離婚後すぐに再婚することが認められた場合、前夫の子かどうかの判断に用いられる期間(300日)と重複期間が生じる懸念があります。一方、現在は医療の進歩によってDNA鑑定で誰が父親かを正確に判断することができるようになっています。そのため、誰の子なのかを「期間」で決めるのは時代遅れという意見もあります。
しかし、ここに「生物学上の父子関係と法律上の父子関係の違い」という観点が加わると話はさらに複雑になります。離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子というルールのもとでは、何はともあれ、生まれてくる子どもを育てる責務を持つ父親がいないという事態は生じません。一方、生物学上の父子関係を法律上の父子関係と同一視する場合は、「自分の(生物学的な)子ではないから育てる責任もない」という主張が通りかねません。そうなると、困るのは生まれてくる子どもということになります。
弁護側と国側の主張の違い
以上を踏まえて、弁護側と国側の主張の違いを見てみましょう。
≪弁護側の主張≫
「現代の発達した医療であれば、DNA鑑定によって親子関係を明らかにできる。女性に限って6カ月間の再婚禁止期間は必要以上の制約だ」
≪国側の主張≫
「国民の誰もがDNA鑑定を利用しているわけではない。父子関係を巡る紛争を防ぐという立法趣旨は現在でも合理性がある」
ここからは個人的な意見なので見当違いなことを言っていたら申し訳ありません。DNA鑑定を重きを置く立場においては、「鑑定の結果、前夫の子でも現夫の子でもなかった」というケースにどのように対応するのでしょうか。「本当は誰の子?」という部分がブラックボックスになる300日ルールは、よくできている気もします。正確な認識が幸福につながるとは限りません。夫婦関係、父子・母子関係においては知らなくていいこともあるような気がします。みなさんはどう考えますか?
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