2016年2月24日、全国労働組合総連合(全労連)が5年に1回行っている調査で、働く女性と流産の関係を含む調査結果が発表されました。調査対象となったのは2011年以降に妊娠・出産した全国の女性労働者2909人(内訳は正規82.9%、非正規16.0%)。
これによると、流産を経験したことのある女性は約4人に1人の23.2%で、さらに切迫流産・早産を経験した女性は27.5%にのぼりました。
切迫流産・早産経験を職業別に見ると、「看護師」が最も多い37.4%となりました。夜勤を含む過酷な働き方が影響していると考えられています。
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切迫流産・早産の「切迫」とは?
まず、切迫流産、切迫早産と診断されたからといって必ず流産や早産になるわけではありません。「切迫」というのは、そうなる可能性があるので注意しましょう、という意味です。
実際、切迫流産・早産と診断されていても、無事に出産できるケースは沢山あります。しかし、だからといって、切迫流産、切迫早産をあなどっていいということではもちろんありません。
「安静」とはトイレと食事以外で動かないこと
切迫流産、切迫早産では「安静」にすることが非常に重要になります。安静とは、トイレや食事以外の活動を極力避け、できるだけ何もせずに過ごすこと。「大丈夫そうだから」と、料理や洗濯などをしてはならないのです。
最近では、西山茉希さんが切迫早産と診断され、入院管理のもとで安静に過ごすことを選択されました。切迫流産、切迫早産と診断された場合は、これが正しい対応といえるでしょう。
(参考:切迫早産の疑いで入院中の西山茉希さん、「經管2.4」の意味とは?)
看護師の世界で後を絶たない「職場流産」
慢性的な人手不足が続く看護師の世界では、「自分が休むと他の人に迷惑がかかる」「簡単には休めない」と感じる人が多く、無理をして働いてしまうことが少なくないそうです。その結果、切迫流産、切迫早産と診断される人が後を絶ちません。
さらに恐ろしいのは、本来、「安静」が絶対条件のはずの切迫流産または切迫早産と診断されてもなお働き続けて実際に流産に至ってしまうケースがあることです。看護師の流産率は一般的な女性労働者に比べて高い傾向が続いており、その原因が明らかに働く環境にある「職場流産」なのです。
患者さんの健康のために自分を犠牲にして働き、自分やお腹の赤ちゃんの健康を危うくするような現状は悲しいですよね。今回の発表がきっかけとなり、看護師の方々が置かれた厳しい状況が周知のものとなって、働く環境が改善に向かうことを願いたいと思います。