立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が考案したタバタトレーニング(またはタバタプロトコル)は、海外で火がついたトレーニング方法です。最大の特徴は、1回たったの4分という時間の短さ。効果の秘訣はどこにあるのでしょうか。
タバタプロトコルとは?
タバタプロトコルは、運動をどのような時間配分で行ったらよいのかの枠組みを与えるものです。次の時間配分に当てはめれば、ダッシュ、筋トレ、縄跳びなど、どんな種目をやってもかまいません。
・タバタプロトコル
運動20秒・休息10秒を1セット(計30秒)とし、これを8回(計4分間)繰り返す
やるべきことは非常にシンプルですが、時間配分が絶妙です。運動時間20秒というのは短めの時間です。休息10秒は相当に短い時間で、あっという間に終わってしまいます。運動時間は短いほど集中して力を出し切れます。例えば、1000メートル走るときよりも、100メートルダッシュのときの方がペースは早くなります。タバタプロトコルでは短距離ダッシュのような爆発的な運動を何度も繰り返します。このままでは続行不可能というタイミングで、たった10秒の休息が入ることで反復が可能になります。
EPOC(運動後過剰酸素消費量)に影響
田畑教授は当初、モチベーションの高い、トップレベルの競技選手を想定していたそうです。しかし、意外にも海外のフィットネス業界がこれに目をつけ、海外で急速に広まりました。なぜ、こんなに短時間で効果が出るのかをひとことで言うと、「めちゃくちゃハードだから」ということになるでしょう。タバタプロトコルを妥協なく実施した場合、トップアスリートでも5~10分は立ち上がれないといわれています。
運動を行うと、運動を終えて安静にしているときのエネルギー消費量も高まります。このことをEPOC(運動後過剰酸素消費量)といいます。運動時の心拍数が高いほどEPOCも高くなります。タバタプロトコルでは、必然的に心拍数が高い状態で運動を反復することになります。このことが、短距離ランナーのような、筋肉質で引き締まった体を作り上げる要因となっています。ただし、高い心拍数に耐えられる、一定レベルの身体能力が備わっていなければ実施は困難で、何より危険が伴うでしょう。自分の体調を見定めて取り入れることが大切です。