声優の原奈津子さんにがんが見つかり、7月9~10日にシンガポールで行われるイベント「C3_CharaExpo」を欠席することが分かりました。
原さんは父親を2年前にがんでなくしており、「がん家系」を自覚しているようです。がん家系というのは実際にあるのでしょうか。
大腸がんの25%は家族性腫瘍
家族の中にがんにかかる人が多い「がん家系」は確かに存在しています。
そのような家系で生じるがんを家族性腫瘍といいます。また、親から子に異常な遺伝子が受け継がれて発症するタイプを特に遺伝性腫瘍症候群といいます。
例えば、大腸がんでは家族性腫瘍が全体の25%程度を占めるそうです。一方、はっきりと遺伝が原因とわかる遺伝性腫瘍症候群は全体の5%程度にとどまります。原さんが「がん家系」というとき、そこでは家族性腫瘍、または稀ではありますが遺伝性腫瘍症候群が問題になっているといえます。
乳がんの可能性は?
女性の罹患率が最も高いがんは乳がんです。そのため、原さんに対して真っ先に心配されるのは乳がんということになりますが、2年前に亡くなった父親が乳がんだったとは考えにくいでしょう。
しかし、原さんが乳がんの家系でないとはいいきれません。というのも、「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」と呼ばれるタイプでは、同時に前立腺がん、膵臓がんにも罹りやすいからです。例えば、父親が前立腺がんで、娘が乳がんというケースも考えられるのです。
遺伝性腫瘍には、大腸がん、乳がん・卵巣がん、皮膚がん、泌尿器がん、脳腫瘍、骨軟部腫瘍などの沢山の種類があります。
近親者が肺がんだと肺がんの発症リスクは2倍に
原さんはブログで父親について次のようにコメントしています。
「お父さんがずっと変な咳が出ているのは気になっていてもまさか癌だと思わず病院を勧めなかった」
変な咳で連想するのは肺がんですが、この肺がんも「がん家系」との結びつきが強いがんです。
国立がん研究センターは、
・両親、兄弟・姉妹に肺がんにかかった人がいるグループ(肺がん家族歴あり)
・両親、兄弟・姉妹に肺がんにかかった人がいないグループ(肺がん家族歴なし)
を比較しました。
11年間で肺がんにかかった人を調べたところ、肺がん家族歴ありの人はない人よりも約2倍肺がんになりやすく、
その上、
・男性1.7倍
・女性は2.7倍
と女性の方が家族歴の影響を受けやすいことが分かりました。
遺伝的要因も関係していると思われますが、喫煙の影響も考えられます。本人が喫煙していなくても家族の喫煙で受動喫煙にさらされることもあります。また、食生活や大気汚染の影響など、似通った環境で過ごすことも関係していると思われます。仮に原さんの父親が肺がんだったとすれば、原さんは「肺がん家族歴ありの女性」であり、肺がんを発症するリスクが高いグループということになるでしょう。
原さんがどのがんなのかは分かりませんが、がん家系を自覚しているせいもあってか非常に冷静な印象を与えます。検診で早期発見し、「取れるがん」であることに安堵しているようでもあります。この前向きな姿勢に私たちも安心させられますよね。落ち着いてがんと向き合う原さんの治癒と復帰を願いたいと思います。
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