小林麻央さんは人から前向きであることを褒められるそうです。しかし、結果を出せていないので褒められるのはまだ早いという思いもある。こんなところでも結果に執着している自分に気づき、これからは前向きであること自体を褒められるようになりたい、としています。
11月8日付けのこのブログには、小林麻央さんのいくつもの心理傾向が現れています。
1 人から褒められる心理傾向:前向き
2 自分で気が付いた心理傾向:結果を求める
3 本質的な心理傾向:X
3番目のXというのは小林麻央さん自身がふれていない、隠された性格のことで本論の結論部分になります。それについては後で見るとして、まずは患者の心理傾向と生存率の関係に注目してみましょう。
がんの受け止め方で生存率は変わるのか?
患者の心理傾向によって生存率が変わるかどうかについては賛否両論あり、最新の研究では良い影響も悪い影響もない、とされているようです。影響がある、とするものの中で有名なのが1985年にランセットという医学誌に掲載されたイギリスの研究です。(Mental atiitudes to cancer:an additional prognostic factor)。
患者ががんをどのように受け止めるかは結果に影響しないのだとしたら、話はそれでおしまいですが、
ここでは、「もし影響があるのだとしたら、どのような影響なのだろうか」という関心から、1985年の研究に目を向けてみたいと思います。
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この研究では、乳がん手術を受けてから3カ月後の患者の精神状態を調査して下記の4グループに分類し、その後の生存率に差が出るかどうかを追跡しています。
・ファイティングスピリットを持ち、前向きな姿勢で積極的に取り組むグループ
・がんという診断結果を信じようとせず、現実を否認するグループ
・がんであることを冷静に受け入れたグループ
・がんという診断に絶望したグループ
一見すると、「正しい認識」という観点では冷静に受け入れたグループが模範的であり、がんであることを否認するグループはその反対です。また、絶望するグループはいかにも弱々しく、反対にファイティングスピリットのある前向きなグループはたくましい。
さて、結果はどうなったのでしょうか。
小林麻央 前向きな姿勢、積極性が生存率を高める?
最も生存率が高かったのはファイティングスピリットのあるグループで、最も低い絶望したグループの4倍近くになったそうです。4倍も違いが出たのは意外ではありますが、絶望してしまう人よりもファイティングスピリットを持った人の方が結果が良いというのはなんとなく分かる気がしますよね。
小林麻央さんは、人から前向きであると褒められるほどの性格。そして、自分自身「結果にこだわり過ぎる」ことを自覚しています。結果にこだわるというのは、良い結果を求めて積極的にアプローチすることですから、ファイティングスピリットと言い換えても良いでしょう。つまり、1985年の研究に当てはめるなら、小林麻央さんは最も生存率が高かったグループに当てはまると考えられます。
しかし、問題はそれだけにはとどまりません。
小林麻央の本質は、強力な否認の力か?
さて、前向きなグループが最も生存率が高く、絶望したグループが最も生存率が低いという話でした。ところで、両者の間はどうなっていたのでしょうか。
意外なことに正しい行動のようにも思える冷静に受け入れたグループは、がんであることを否認したグループよりも生存率が低くなりました。がんと闘う前向きなグループの次に生存率が高かったのは、がんであることを認めないグループだったのです。
冒頭で、小林麻央さんがふれていない本質的な心理傾向があるといいましたが、それがこの「否認」。
小林麻央さんは最初に人間ドックを受けたときに、がんの可能性が「五分五分」と言われても、
私は癌ではない方の50%だ!という
根拠のない自信がありました。
(9月7日「2 50% 」より)
しこりに気づいて生検を行い、「95%癌」だと言われたときでも、
結果をみたら、
残りの5%だったということもあるはず。
そうだ!
そうだ!
脇のしこりだって、
何か菌が入ったのかも!
きっと、そうに違いない!
(9月19日「14 ポジティブに 」より)
と、このようにがんの可能性を受け入れていません。
そして、11月8日付けのブログには次のように書かれています。
「治癒」という結果がでていなくても、
今、前向きである自分は
褒めてあげようと思いました。結果が出てからしか、
自分のことを認められないのは
悲しいですものね。
「結果が出てから認められる」の反対は、「結果が出なくて認められない」のはずです。しかし、小林麻央さんはこの可能性を排除しています。
選択肢は、「結果が出てから認められる」か「結果が出る前から認めらる」の二者択一。本当の意味でのバッドエンドは否認されています。
論理はねじれ、認知の歪みともとれるような物の見方……。ただし、それががんの受け止め方としてまずまずの対応なのは先に見た通りです。小林麻央さんの場合、自ら語った心理傾向も、語られなかった心理傾向も、生存率の追い風になっているのかもしれません。