タレントの小堺一機さん(59)が司会を務める「ライオンのごきげんよう」は、来年3月をもって平日帯枠での放送を終了するそうです。小堺さんは癌を克服して復帰したことでも知られていますよね。小堺さんの癌は「原発不明頸部リンパ節転移」というのだそうです。
リンパ節転移というのは、まず最初にどこか他のところに癌ができ、それが転移してしまってリンパ節(小堺さんの場合は首)に癌ができるというものです。リンパ節転移自体は後からできた癌というわけですね。当然、最初にできた癌はどこにあるのかが気になりますが、小堺さんのケースではそれが分からない、というのです。病名にある「原発不明」というのは、元々の癌がどこにあるのか分からないということを意味しています。このようなケースはよくあることなのでしょうか。
首にできたリンパ節転移の原因が分からないケースとは?
首にできたリンパ節転移の原発部位(最初にできた癌)を特定できないケースは少なくないそうです。最初の癌が同じ頭頸部内にある場合は、扁桃、上咽頭、下咽頭などが疑われ、それらの部位の組織を採取して病理検査を行うことで癌が発見されることがあります。しかし、最初の癌が頭頸部内にないこともあり、その場合は、疑わしい部位は全身に及んでしまい発見も困難です。
癌が原発部位にとどまらずにリンパ節転移を起こしているのであれば進行している癌のはずです。そのため、ある程度の大きさがあり、見つけやすいのではないかと思われるかもしれませんが、中には原発部位の癌の大きさは数ミリなのに頸部リンパ節転移が数センチ以上になるといった逆転現象も見られるといいます。
原因が分からないことは、不利ではない!?
通常であれば、最初の癌とリンパ節転移の両方の治療を平行して行いますが、一定期間経っても最初のがんを発見できない場合は、「原発不明」という病名がつき、ひとまずリンパ節転移の治療を優先して行います。最初の癌が見つからない限りはリンパ節転移の治療のみを行うしかありません。
もともとの癌が見つからないというのは何とも不安な状態です。時間の経過とともにその癌が進行してしまうことも考えられ、予後に良くない影響を与えはしないかと心配になります。しかし、原発不明頸部リンパ節転移の内、原発部位の発見が早いケースほど予後が良いかというとそうではなく、むしろ、原発部位が確認されるのが遅くなるほど生存期間は長い傾向にあるという報告もあります。そのメカニズムについては分かりませんが、発見が遅れるということはそれだけ影響力の小さい癌だったということなのでしょうか。
このように頸部リンパ節転移においては、小堺さんのように原因となった最初の癌がはっきりしないことがあります。ひとついえるのは、小堺さんが「原発部位の確認が遅く、生存期間が長い」ケースに該当するということです。長寿番組「ライオンのごきげんよう」は、現在のかたちでの放送を来年3月で終了しますが、小堺さんは週1回の通常レギュラー枠を担当するそうです。いつまでも元気な姿を見せてほしいですね。
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