男子テニスの錦織圭選手が入院していたことが分かりました。その原因は「疲労」。ツアー最終戦を終えた錦織選手は11月下旬に帰国した後もイベントやスポンサー対応などに追われていたそうです。スポーツ選手の疲労といえばオーバートレーニングが思い浮かびますが、錦織選手の場合はテニスによる肉体的な疲労に加え、移動や、次々に入る仕事などで心理的な疲労もあったのではないでしょうか。複合的な要因が組み合わさって、原因のはっきりしない重い疲労状態に「慢性疲労症候群」というものがあります。どのようなものなのか見てみましょう。
慢性疲労症候群とは?
原因の分からない疲労が長時間続く状態を「慢性疲労症候群」といいます。日常生活に支障をきたすほどの疲労が6か月以上続いた場合、慢性疲労症候群が疑われます。錦織選手にも発熱や嘔吐といった症状が現れたそうですが、強い疲労感を感じるだけでなく、身体的な症状やうつ病に似た気分障害を伴うのが特徴です。
慢性疲労症候群の症状
慢性疲労症候群の症状には次のものがあります。
・強い疲労感
・気分障害
・発熱
・頭痛
・喉の痛み
・筋肉痛
・不眠と過眠
このように、単に疲労感を感じるだけでなく、身体的な不調を伴うのはなぜなのかが気になるところです。現在有力な説は、免疫力低下によるウイルスの活性化という説です。
免疫力低下でウイルスが活性化!?
長い間ストレスにさらされると強い疲労感を感じ、注意力や集中力が著しく低下します。このとき、体の中では免疫力も低下しています。その結果、普段は影響を与えることのない体内のさまざまなウイルスが活性化すると考えられます。
ウイルスが活性化するとこれを抑えるために、身体は免疫機能を亢進させることで対応しようとします。免疫物質が過剰に作られ、これに脳が影響を受けてさまざまな症状が現れると考えられます。
慢性疲労症候群は、6か月程症状が続く場合をいいます。そのため、錦織選手にそのまま当てはまるものではありませんが、身体的な症状が現れるほどの疲労というのは少し心配ですよね。疲労はこじらせると治療に数年を要するケースもあります。錦織選手にはこの際、しっかりと疲労を抜いてもらい、次の目標に向けてよいスタートをきってもらいたいですね。