安美錦「アキレス腱断裂」 引退説!? 手術の方が回復期間が短い?

現役関取最年長の安美錦関は大相撲夏場所2日目の栃ノ心戦で左アキレス腱を断裂しました。3日目から休場が決まっており、回復が遅れれば引退につながりかねないと、引退説もささやかれています。

アキレス腱の断裂はスポーツで起きやすい怪我のひとつ。スポーツ選手の場合はパフォーマンスに影響を与えないように避けられれば手術を避けるという考え方があります。しかし、アキレス腱に関しては、一般的に手術を行った方がスポーツへの復帰を果たしやすいとされているようです。安美錦関の場合も、完全断裂か不完全断裂かが不明な段階で手術を行うことを決断していました。アキレス腱断裂時の手術について見てみましょう。

意外に大きいアキレス腱

筋肉は「腱」という軟組織を介して骨に付着しています。筋肉は自ら収縮することで骨を動かすことができます。腱に収縮する能力はありませんが、引き伸ばされると元に戻ろうとする力を発揮します。こうした物理的な弾力性によって、関節を怪我から守るとともに、ジャンプやダッシュの際には地面からの強い衝撃を動きのためのエネルギーに変換することができます。

アキレス腱は非常に大きな腱で、2足歩行で歩く、走る、跳ぶといった動作を行う人間にとって非常に重要な役割を担っています。アキレス腱というと足首のあたりで細くなっている部分をイメージするかと思いますが、実際にはふくらはぎの下半分くらいから繋がっています。この大きな腱が切れる時は大きな音がするので、本人だけでなく、周囲もそれに気づくほどです。

つま先立ちの姿勢でくっつく

準備運動で良く行われるアキレス腱を伸ばす動作を、アキレス腱が切れた状態で行うと、切れた両端が引き離されます。反対につま先立ちの姿勢になると切れた両端がくっつきます。アキレス腱断裂の治療には、手術療法と手術を行わない保存療法とがあります。保存療法ではつま先立ち姿勢のままギプスで固定し、回復を図ります。

手術療法は、切れた両端をくっつけて縫い合わせます。切開して縫う方法、切開せずに皮膚の上から縫う方法、2本の糸で縫う方法、6本の糸で縫う方法などさまざまなやり方があります。切開しない方が出血が抑えられ、また傷口が外部にさらされないので感染リスクが低下します。しかし、切開した方が、目視によってしっかり繋ぐことができるというメリットや、神経を誤って傷つける可能性が低いというメリットがあり、何を重視するかによって方法は変わります。

手術で早期回復するといわれる理由

アキレス腱を断裂したとき、特にスポーツ選手に対しては手術が勧められる傾向があります。その理由は、アキレス腱がしっかりくっついていない状態で長期間日常生活を送り、運動強度が低下したままだと筋肉も衰えて、競技復帰がますます困難になるからです。

保存療法と手術療法の決定的な違いは、足首を動かせるかどうか。保存療法ではギプスで固定されており足首は動かせません。一方、手術療法では足首を動かせるので、柔軟性の回復や荷重の訓練といったリハビリを早期から行うことができ、これが早期回復の決め手になると考えられています。保存療法では6週間ほどギプス固定を行いますが、手術療法では手術翌日からベッドの上で足首を動かせます。

手術を行い、早期にリハビリを開始した場合、3カ月程度でランニングなどの運動が可能になります。スポーツへの復帰は少なくとも3カ月かかり、一般的に本格的な復帰までには6カ月程度をついやすそうです。

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