忘年会になるとついつい飲み過ぎてしまうという人は多いのではないでしょうか。お酒の飲み過ぎはときとして深刻な事態を引き起こしますが、中でも代表的なのがアルコール依存症と肝臓病です。そして、重要なことは、この2つが密接に結びついているという点です。
飲酒と肝障害の関係
行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センターの調査によると、毎日日本酒に換算して5合以上のアルコールを10年以上飲んでいる人たちの内、約80%に肝障害が認められたといいます。
毎日日本酒5合というとかなりの量になります。なお、厚生労働省は1日に日本酒で3合、ビールの中ビンで3本、25度の焼酎で300mlの飲酒を「多量飲酒」と定義し、アルコール依存症が疑われるとしています。毎日日本酒を5合以上を飲み続けている人はアルコール依存症でもあります。
アルコール依存症においては、多量飲酒の次に、「連続飲酒」という段階が来ます。これは、体の中のアルコール濃度を常に一定以上に保っていなければ気が済まない状態で、飲む場所や時間についても見境がなくなってきます。多量飲酒、連続飲酒を続けていた人が禁酒をしようとしても、手がふるえる、イライラする、眠れない、といった離脱症状が現れ、ますますアルコールを止められなくなります。そうなれば、当然のことながら肝臓の負担も大きくなってしまいます。
「肝硬変」になるお酒の量に目安はある?
アルコールを飲み過ぎると肝臓に脂肪が蓄積する「脂肪肝」になります。そして、脂肪肝の状態でさらにの飲み続けると「肝炎」を発症します。肝炎は、肝臓に炎症が起きて肝細胞の破壊が進む病気で、肝臓病の始まりともいえます。それでもなお飲み続けると肝機能はどんどん低下していきます。恐ろしのは「肝硬変」です。これは、肝臓が硬くなって肝機能が著しく低下し、腹水、黄疸、吐血といった症状が現れる病気で、生命に危険が及びます。どれくらいのお酒の量で肝硬変になるかについては個人差が大きいのですが、次のような報告があります。
・日本酒で約7合を毎日10年以上飲み続けた人の内、約20%に発症。
・日本酒で約7合を毎日15年以上飲み続けた人の内、約50%に発症。
アルコール依存症に対しても肝臓病に対しても、最も有効な対策はお酒を飲まないことです。しかし、離脱症状が現れるほどになればそれも難しくなります。また、肝臓病の始まりである脂肪肝は、初期であれば比較的容易に改善できるといわれています。お酒の量が増えていることに気づいたら、引き返せなくなる前に早めに量を減らすことが大切です。特に忘年会シーズンをきっかけにお酒の量が増えてしまいがちなので注意しましょう。
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