声優の白石稔さんが顔面神経麻痺のため、「顔の右半分が全く動きません」と告白しています。顔面神経麻痺の原因はさまざまですが、最も多い「ベル麻痺」とよばれるタイプは、血流の悪化やウイルスが原因と考えられています。ベル麻痺は、早期に治療を開始すれば9割近くは回復すると言われています。一般的には薬を使った治療が行われますが、麻酔薬を注射する「神経ブロック」が有効で、早期の治療開始が決めてになるそうです。
ペインクリニックによる顔面神経麻痺の治療
痛みを取り除くための治療を「ペインクリニック」といいます。ペインクリニックは麻酔薬を注射する麻酔科の技術を応用したものです。痛みを取り除く以外にも顔面神経麻痺の治療に用いることができ、3週間以内に治療を開始すれば10~40回の注射で約90%が改善するといわれています。
反対に発症から3か月以上が経過していると完治が難しくなり、後遺症が残る可能性が高くなります。発症から数年が経過している場合は麻痺の回復が困難となるため、形成外科で顔のバランスを整える治療を行うことも視野に入れます。
星状神経節ブロックとは?
麻酔薬を注射する神経ブロックには、神経に直接注射するタイプの他に、神経が走行している領域に麻酔薬を流し込むタイプとがあり、これを「コンパートメントブロック」といいます。顔面神経麻痺の治療に用いられる星状神経節ブロックは後者にあたり、神経に直接注射するわけではないので、治療時に電流が走るような痛みが生じることはないそうです。
なお、星状神経節ブロックは故田中角栄氏の顔面神経麻痺に用いられたことで広く知られるようになった治療です。ベル麻痺というタイプに対しては早期の改善を期待できますが、ウイルスを原因とするハント症候群は重症化するケースが多く、治癒に約半年かかることもあります。
顔面神経麻痺は後遺症を残さないためにも早期の治療開始が重要です。ペインクリニックはどの医療機関でも受けられるわけではありませんが、そのような方法があることを知っていれば、いざというときの選択肢が増えるのではないでしょうか。
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