突然死の2大原因は心筋梗塞と脳卒中です。この内、脳卒中に関して、サービス業の女性のリスクが高いことを示す研究が発表されました。
仕事の種類ごとの脳卒中リスクを調査
中国・南方医院のユイリ・ホワン氏らは、約14万人のデータを含む先行研究6件を分析し、仕事のストレスと脳卒中との関係を調べました。その研究成果は10月14日付けの「Neurology」誌に掲載されています。この研究の特徴は、仕事の種類ごとの脳卒中リスクを求め、男女差を明らかにしたところにあります。
仕事の種類については、各々の仕事に求められる「要求度」と、そこで発揮することのできる「裁量度」のバランスによって分類する方法(仕事の負荷モデル)を採用しています。それによると仕事は次のように分類されます。
≪自然科学者や建築家≫
低負荷の仕事:要求度が低く裁量度が高い
≪用務員や鉱山労働者≫
受動的な仕事:要求度も裁量度も低い
≪医師・教師・技術者≫
能動的な仕事:要求度も裁量度も高い
≪ウェイトレスなどのサービス業≫
高負荷の仕事:要求度が高く裁量度が低い
サービス業の女性のリスクが高い
分析の結果、受動的な仕事(用務員や鉱山労働者)と能動的な仕事(医師・教師・技術者)に関しては、リスク上昇に関する統計的な差は見られなかったといいます。一方、高負荷の仕事(ウェイトレスなどのサービス業)と低負荷の仕事(自然科学者や建築家)を比較すると、前者の危険性が1.22倍高く、さらに、脳梗塞のように脳の血管が詰まるタイプの疾患に限定すると危険性は1.58倍になることが分かりました。興味深いのは、同じく高負荷の仕事に従事している場合でも、男性に関しては、リスクを高めるとする統計的な差が見られなかった点です。
この研究では、サービス業を「要求度が高く裁量度が低い」ととらえています。確かに、ウエイトレスなどの仕事ではオーナーやお客さんから求められることは山ほどあるのに、自分のペースで進めたり、工夫してやり方を変えたりといった裁量度は少ないといえます。こうした状況に女性は大きなストレスを感じており、男性以上に、脳卒中で倒れてしまう危険が高いことが分かりました。サービス業に従事されている方で、仕事の内容が「要求度が高く裁量度が低い」に当てはまると思われる場合には、くれぐれも体調には注意するようにしてください。
横町慶子さん脳梗塞で死去…半身麻痺で舞台に復帰するも再発か?