北斗晶さんの啓発活動によって、乳がん検診を受ける女性が増えているそうです。しかし、北斗晶さん自身は毎年検診を受けていたにも関わらず、乳がんを発見できたのはステージ2まで進行してしまった後でした。せっかく検査を受けるのなら、早期発見につながってほしいですよね。
前回は、マンモグラフィと超音波検査の併用によって乳がんの発見率が向上するという話題を取り上げました。実は、マンモグラフィと超音波検査の併用までは、北斗晶さんも行っていたことでした。それにも関わらずステージ2になってようやく発見されたのは、乳がんのできた位置や、急激に進行するタイプの乳がんだったことが原因ではないかといわれています。
今回取り上げる話題は、通常のマンモグラフィでも、超音波検査でもない、第3の選択肢としての「3Dマンモグラフィ」です。
マンモグラフィが苦手とする「乳腺高密度タイプ」とは?
マンモグラフィ単独よりも、超音波検査を追加した方が乳がんの発見率が高いことにふれましたが、そもそも、なぜマンモグラフィ単独だと発見率が落ちるのでしょうか。それは、マンモグラフィには苦手な分野があるからです。
マンモグラフィは乳がんを白い塊として映し出すますが、「乳腺」も同じように白く映ってしまいます。乳腺には密度の高い低いがあり、密度が高い場合には画面が真っ白になって、がんなのか乳腺なのか見分けがつきにくくなってしまいます。乳腺の密度には人種による差、年齢による差、個人差があり、乳腺密度が高いことを「乳腺高密度タイプ」といいます。
若い日本人女性はマンモグラフィ向きではない?
乳腺密度は年齢とともに低下していきます。そのため、若い女性よりも高齢の女性の方がマンモグラフィに向いているといえます。さらに、欧米人と比較して、日本人女性は乳腺密度が高い傾向にあり、40代を過ぎても乳腺密度が高い人もいます。なお、乳がんを発症するピークは、欧米人においては60~70代なのに対し、日本人女性では40~50代となっています。つまり、乳がんを発症しやすいピークの時期に、マンモグラフィで乳がんを発見しにくい人が一定数いるということになります。
3Dマンモグラフィという選択肢
通常のマンモグラフィは乳房を圧迫して2次元で撮影します。これに対して、3Dマンモグラフィは、撮影角度を変えて複数の方向から撮影するもので、乳房の圧迫も弱めです。得られた画像データは3次元的に再構成されます。
従来のマンモグラフィは静止画像を見ながら診断を行いますが、3Dマンモグラフィは立体画像を見ながら診断を行い、気になる場所をミリ単位で微調整しながらさまざまな角度から確認できます。大きな特徴は、乳腺高密度タイプにも対応できる点です。通常のマンモグラフィと3Dマンモグラフィの併用によって検査の精度が上がると報告されています。
もうひとつ重要なポイントがあります。これは超音波検査の追加にも当てはまることですが、乳がんのスクリーニングにおいては、「発見し過ぎる」ことは必ずしも良いことばかりではありません。なぜなら、実際に乳がんかどうかは精密検査で調べる必要があり、「疑わしいから念のため精密検査」ということになれば、受けなくてもいい検査が増えて体に負担がかかってしまうからです。
3Dマンモグラフィでは、良性か悪性かの判断もより適切に行うことができます。「疑わしい」だけでなく、「疑わしくない」をはっきりと判断することで、不必要な検査を減らすことにもつながります。気になる被ばく量については、従来のマンモグラフィをやや上回る程度とされています。
通常のマンモグラフィを1度受ければ、自分の乳腺密度が高いか低いかが分かります。「乳腺高密度タイプ」だった場合は、乳がん発見の確率を高めるためにも、超音波検査や3Dマンモグラフィの追加を検討してみるとよいのではないでしょうか。
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