厚生労働省はマタハラ(マタニティー・ハラスメント)に対する初の実態調査を行いました。マタハラとは、妊娠や出産を理由に職場で不当な扱いをしたり、ときには退職をうながすなどの行為のことをいいます。安倍内閣が「絶対に許さない」という立場で臨んでいる問題でもあります。今回の調査結果から何が見えてくるのでしょうか。
派遣社員に被害が集中
マタハラ被害にあった割合を、雇用形態別に見ると次のようになりました。
1)派遣社員…48%
2)正社員…21%
3)契約社員…13%
4)パート…5%
立場の弱い派遣社員に被害が集中している実態がうかがえます。雇用形態別の差異は非常に重要な問題ではありますが、既に多くの指摘がなされていると思いますので、ここでは別の観点に注目してみましょう。
一番の敵は男性の直属上司、しかし……
気になるのはマタハラの加害者が誰なのかということです。調査によれば、加害者になった人の性別と立場は次のようになります。
≪男性≫
直属の男性上司…19%
男性の同僚・部下…5%≪女性≫
直属の女性上司…11%
女性の同僚・部下…9%
明らかなのは、マタハラにおける一番の敵は直属の男性上司だということです。しかし、だからといって、この結果を公平に見るなら、「それみたことか! 男はやっぱり妊娠・出産の大変さを理解していない。女の敵だ!」とはいえないのです。なぜでしょうか?
加害者の分布:男性=二極化、女性=均一
別に男性上司をかばうわけではないのですが、彼らがマタハラを働いてしまうのは妊娠・出産への無理解や、女性に対する思いやりの無さだけではないように思います。
はっきりいって組織の生産性だけを見れば、妊娠・出産への配慮が必要な人材よりも、そうした配慮を必要としない人材がバリバリ働いた方が良い結果が出るでしょう。仮に、生産性だけを評価する社会や組織というものがあるとすれば、そうした環境においてマタハラが起きない方がむしろおかしいとさえいえるでしょう。
おそらく男性上司によるマタハラの大部分は、その人の性格や感情によってというよりも、組織の論理によって引き起こされているのでしょう。もちろん、そうしたものに反発してくれたり、または、上手く調整して取り計らってくれたりする上司がいれば理想的ですが、普通の男性の中にそこまでできる人はそうそういないでしょう。彼らも数字に追われる中、生産性を追求するあまりマタハラを働いてしまったり、場合によってはそうした役割が暗に期待されるケースすら考えられます。
一方、似たような境遇にある直属の女性上司がそれほどマタハラを行わないのは、彼女たちが男性ほどには組織の論理に縛られていないか、あるいは、そんな「汚れ役」は割に合わないと感じるからなのかもしれません。
もうひとつ注目すべきは、女性においては同僚や部下でさえも、女性上司とそれほど変わらない水準でマタハラを行っている点です。「そうする必然性がない人たちもマタハラに参加している」というのがポイントになるでしょう。そこへいくと男性の同僚や部下の5%という数字の何という善良さ!
次のような結論は、果たして皆さんの賛同を得ることができるでしょうか。
「マタハラ問題において、男性は本来無害だが立場によって凶悪化する。一方、女性は常に一定の水準で有害である」
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