千代の富士 すい臓がんによる死
元横綱 千代の富士(九重親方)が7月31日、膵臓癌(すい臓がん)のため亡くなりました。千代の富士は昨年の6月頃にすい臓がんの手術を受け、同年7月下旬に退院していました。
退院から約1年後に亡くなられたことになります。手術後1年後の死……これは少し早すぎるような気もしますが、すい臓がん全体の中で見るとどうなのでしょうか。
千代の富士 すい臓がんの1年後生存率は高く、その後急激に低下
すい臓がんに関して、がん研有明病院が手術後生存率を公開しています。
それによると、生存率は次のようになります。
<切除可能膵癌>
1年後生存率…83%
3年後生存率…36%
5年後生存率…31%
がんの生存率は一般的には5年後生存率というかたちで公表されますが、ここではより細かく、1年後、3年後の生存率も記されています。
千代の富士のように手術が可能な症例においては1年後の生存率は8割を超えており、十分に高いことが分かります。一方、1年後から3年後の間に急激に生存率が低下して3割台となっています。つまり、手術を受けることができた人は1年後まではほとんどの方が生きていますが、それから3年目以降も生き続けられる人は極端に少ないのです。
千代の富士 すい臓がんの生存率
千代の富士の場合はすい臓がんの外科手術を受けることができました。すい臓がんは発見されたときには既に手術できなくなっていることが少なくありません。手術できない場合の予後はいっそう悪くなります。
こちらはがん情報サービスが公開しているステージ別の生存率です。
<外科治療・放射線治療・化学療法など何らかの治療を受けた人の5年相対生存率>
ステージ1…41.3%
ステージ2…17.8%
ステージ3…6.4%
ステージ4…1.4%
全症例…9.0%
ここには外科手術を受けられなかった人も含まれるので生存率はさらに低くなっています。ステージ1でさえ4割程度、全症例では1割未満という水準です。すい臓がんの予後の厳しさがうかがえます。
このように、すい臓がんは5年後以降も生きられる人が1割をきっています。そして、比較的予後の良い、外科手術を受けることができた人でも1年目以降の生存率は低く、3年後生存率は3割台にとどまります。
以上から、千代の富士の手術1年後の死は、すい臓がんにおいてはとりわけ予後の悪い例というわけではないことが分かります。手術1年後までは生きることができるが、その後に急激に厳しくなるのはすい臓がんの性質です。 厳しいがんと闘った元横綱千代の富士、九重親方のご冥福をお祈りいたします。
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