脚の付け根の長引く痛みは「股関節インピンジメント症候群」が原因かもしれません。深くしゃがみ込む姿勢を繰り返すと、関節内で骨と軟組織が衝突し、関節が不安定になることがあります。
股関節の構造を知っておこう
股関節は3次元的な動きが可能な関節です。英語では「ボール・アンド・ソケット・ジョイント」といいます。ソケットの中をボールが自由に動き回る構造を上手く言い当てた命名といえるでしょう。
脚の付け根にあたる大腿骨の先端には球状の骨頭があり、これがボールに相当する部分です。一方、骨盤側には寛骨臼という受け皿があり、これがソケットに相当する部分です。
ソケットである寛骨臼は、ボールである骨頭を収めておくために「股関節唇」という軟組織によって補強されています。ボールがずれてしまわないように、ソケットに縁が付いている状態です。
股関節インピンジメント症候群とは?
ボールがソケット内で動いていればよいのですが、ソケットの外に出ようとしたり、ソケットの縁を傷つけたりすると、障害が現れます。
寛骨臼の幅が広い、大腿骨の骨頭が太いなどの形態異常があると関節内で衝突が起き、不具合が生じやすくなります。衝突のことを「インピンジ」といいます。そして、股関節内部で繰り返し衝突が起き、関節唇が傷つけられることを「股関節インピンジメント症候群」といいます。
股関節インピンジメント症候群の治療には、股関節周辺の筋肉を鍛える保存療法と、内視鏡を使って手術を行う関節鏡手術があります。関節鏡手術は関節内をモニターで映し出しながら繊細な手術が可能です。関節唇が損傷していても、縫合したり、骨の出っ張りを取り除いたりできます。
股関節インピンジメント症候群を放置しておくと、関節の破壊が進んで、より深刻な変形性股関節症を引き起こすことがあります。股関節の長引く痛みに悩まされている人は、整形外科で検査を受けることをお勧めします。
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