乳がんのステージ4で闘病生活を続ける小林麻央さんは、2017年4月22日に「短期間」の予定で入院することを報告しました。それから3週間近くが経過した現在も入院生活を続けていますが、いよいよ退院の時期が近づいている模様です。しかし、この退院は麻央さんが入院当初に思い描いていたのとは異なっているのかもしれません。
5月11日、麻央さんはポートの埋め込みに関してブログを2回更新しました。
そして、
酸素吸入機の準備もよし!
介護ベッドの準備もよし!
在宅治療の準備もよし!あとは! いつ退院できるかな。
と述べています。当然ここには暗に「ポートの準備もよし!」も含まれているでしょう。おそらく、入院当初にはポートを埋め込んでの退院になろうとは予想していなかったと思われます。
なぜ、ポートが必要なのでしょうか。 退院が近づくタイミングでポートを埋め込むメリットとは何なのでしょうか。
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終末期の緩和医療の一環としてのポート埋め込み
ポートの埋め込みは、血管に負担をかけずに抗がん剤治療を行ったり、終末期に高カロリー輸液や薬剤を投与する目的で行われます。麻央さんの場合は後者だと考えられます。
この点について麻央さん自身、
ポートがあれば入れられる濃い栄養の
点滴などあることを知り、タイミングを逃さないよう、
ポートの手術を受けることを
心に決めていました。
と語っています。
さらに看護に携わる看護師のアンケートによれば、ポート埋め込みには次のようなメリットがあるそうです。
・入浴など必要でないときに針をはずすことが可能である(45人)
・何よりも患者さんに針の穿刺という苦痛を与えずにすむ(43人)
・必要なときにすぐに高カロリー輸液を行うことができる(40人)
・合併症がないかぎり最後まで血管ルートとして使用できる(39人)
・血管確保の負担がなくなりストレス軽減につながる(30人)
(参考:中心静脈ルートとしてCVポートがふさわしいと回答した看護師 54人による複数回答、月刊ナーシングvol.32)
ここからも分かるように、ポートの埋め込みは患者のQOL(生活の質)向上の意味合いが大きいのです。
食べれないときの栄養補給と注射薬剤投与の目的
小郡三井医師会HPではポートのメリットを次のように説明しています。
癌末期の方の場合は、CVポートは栄養補給だけでなく、終末期に頻繁にみられる痛み、嘔気、倦怠感など様々な苦痛を緩和するための注射薬剤を使用する際に特に有用です。
(参考:在宅医療とCVポートについて)
麻央さんの場合もここに書かれているように、栄養補給と苦痛緩和のためにポートを埋め込んだのでしょう。ポイントは、ポートを埋め込むことで自宅でも栄養補給と注射薬剤による苦痛緩和が可能になることです。
麻央さんは今回の入院生活の中で、
・口から食べられない
・炎症がある
・高熱が出る
・抗生剤の投与
などについて語っています。これらは退院した後にも繰り返されることが予想されます。そのときポートがあればあまり苦痛を感じずに対処することができます。しかし、それは病気からの回復を期待できるものではありません。麻央さんはこのことをよく分かった上で自宅に帰りたいと願っています。ポートを埋め込むという選択は、残された時間を家族と過ごすという決意に他なりません。「家の空気が恋しいです。」という麻央さんの言葉が胸を打ちます。