近年では10人の1~2人は対人恐怖症の傾向を持っており、とくに若い女性に多いといわれています。人と会うのが怖くなり、家を出られなくなる女性もいるそうです。
対人恐怖症は「社会不安障害」のひとつ
対人恐怖症に悩まされる女性は、男性の約2倍もいるそうです。20代前半から後半にかけて、学校の卒業、就職、結婚、出産と次々に訪れるライフイベントによる環境の変化が一因と考えられています。
対人恐怖症は「社会不安障害」に分類される疾患です。呼吸法やリラクゼーションを学んで緊張状態への対処法を身につけたり、実際に恐怖を抱く場面を想定して「物事のとらえ方」を見直す認知行動療法による治療が行われます。うつ病治療に用いられるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は震え、動悸、緊張といった症状を抑える働きがありますが、副作用には十分な注意が必要です。
ソーシャルスキルを見直す
対人恐怖症の増加には、実際に人づきあいがあまり上手ではない若者が増えているのも一因と考えられます。人とのちょっとしたやり取りで失敗すると、「また悪く受け取られるかも…」と不安になり、あいさつをしたり笑顔で対応したりといった自然な振る舞いが困難になります。このような悪循環に陥らないことが大切です。
人づきあいが苦手なのは性格も関係していますが、社交的に振舞う訓練が不足している場合もあります。笑顔や挨拶は練習すれば誰でも上手になります。性格はそのままでも、社交的な振る舞いが身に付けば、緊張を強いられる場面をやり過ごすこともできます。少しでも自分が楽に過ごせるような振る舞いを工夫しつつ、つらい症状を伴うときは医療機関の受診を検討するとよいでしょう。