平良とみさん死去…敗血症から呼吸不全に至るARDSとは?

女優の平良とみさんの死因は敗血症による呼吸不全と報道されています。敗血症が引き起こす呼吸不全にはARDS(急性呼吸促迫症候群)があります。どのような病気なのか見てみましょう。

別の病気が原因で引き起こされる呼吸不全

呼吸不全のなかでも、肺の毛細血管におけるガス交換に原因があるものをARDS(急性呼吸促迫症候群)といいます。「急性肺損傷」という意味のALIという言葉を足して、ALI/ARDSとも呼ばれるそうです。

ALI/ARDSは、「先行する基礎疾患を持ち、急性に発症した低酸素血症」を指します。つまり、別の病気が原因で肺のガス交換が障害されて呼吸ができなくなる状態です。胸部エックス線検査を行うと、肺全体に異常な影が映るそうです。

ARDSの原因には肺炎、または敗血症が多い

ALI/ARDSにおいて、肺の機能に障害を与えるに至った別の病気には、肺そのものの病気と、肺に間接的にダメージを与える病気とがあります。前者は重症肺炎、誤嚥性肺炎などです。そして、後者が敗血症です。

ALI/ARDSのメカニズムは解明されていませんが、活性酸素が関わっていると考えられます。基礎疾患の影響によって、白血球の一種が活性化して、活性酸素を過剰に生み出し、肺の組織が破壊されます。これにより、ガス交換を行う上で重要な肺胞壁の毛細血管が傷つき、血管から体液が染み出して重い浮腫を起こすものと思われます。

肺炎や敗血症の原因となる菌に対する薬物療法と、酸素マスクなどで呼吸を助ける処置を行って回復を図りますが、ALI/ARDSを直接治療する方法はありません。なお、ALI/ARDSの患者さんの内、約80%に敗血症が認められるそうです。

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