俳優の東出昌大さんの妻で女優の杏さんが双子を妊娠していることが分かりました。「双子の場合、安定期といえる時期がない。しばらくの間、静かに見守っていただきたい」と所属事務所は伝えたということです。安定期の有無もそうですが、双子妊娠は何かと大変です。例えば、食事の量はどうしたらよいのでしょう? 普通の妊娠よりも1人分多く食べるべきでしょうか?
「赤ちゃんの分まで食べる」には限度がある
昔は、妊娠すると「赤ちゃんの分まで食べる」ことが強調されていました。日本が貧しく、食糧事情も厳しかったため、実際に栄養不足によって流産してしまったり、赤ちゃんの発育が悪いということが頻繁に起きました。そのような時代には、とにかくできるだけ多く栄養をとることが重視されたのです。
現在では事情も変わっています。どちらかというと、普通に生活しているだけでもカロリーオーバーになってしまうことが多いはず。これは妊婦さんも同様で、赤ちゃんのために栄養をとるつもりで食べ過ぎると、たちまち体重が増加して、母子の健康にかえってよくありません。
一般的には時期に応じて、1日の摂取カロリーを次のように増やすことが推奨されています。
・妊娠初期(16週未満)…普段の食事に約50kcalをプラス
・妊娠中期(16~28週未満)…普段の食事に約250kcalをプラス
・妊娠末期(28週以降)…普段の食事に約450kcalをプラス
お茶碗一杯分のご飯で235kcal、どんぶりご飯で400kcal程度です。カロリー換算でいうと、妊娠中期にはご飯1杯分をプラス、妊娠末期にはどんぶりご飯1杯分プラスアルファを追加するかたちになります。これは毎食増やすということではなく、あくまでも1日に増やす量の目安なのでご注意ください。
なお、双子妊娠の場合は、お母さんの代謝が10%程度向上するといわれています。増やすとすれば、この範囲に抑えておくのが良いでしょう。「赤ちゃんが2人だから、増やす量も倍」だと、食べ過ぎということになります。
食べ過ぎ、塩分の摂り過ぎによる「妊娠高血圧症候群」に注意
以前は、妊婦さんの高血圧、蛋白尿、むくみのことを「妊娠中毒症」といっていました。現在では妊娠高血圧症候群と呼ばれています。むくみは妊婦さんの多くに見られる症状ですが、母子への悪影響はあまりないので重視されなくなりました。反対に、高血圧に関しては一層注意を要することが分かってきました。上が140mmHg以上、下が90mmHg以上になると高血圧と判断されます。高血圧になると血管の壁が傷つけられ、脳血管障害、常位胎盤早期剥離、HELLP症候群、肺水腫、子癇のリスクが高くなるとされています。
食事量が増えれば肥満になりやすくなります。また、食事量が増えるのにともなって塩分摂取量も増えがちです。この2つはいずれも高血圧につながります。妊娠高血圧症候群のはっきりとした原因は分かっていませんが、食べ過ぎがよくないことは確かです。「双子を妊娠」と聞くと、周囲の人は善意から、ついつい沢山食べることを勧めたくなるものです。しかし、現在ではお母さんの肥満や高血圧の防止に重点が置かれるようになっていることを知っておきたいですね。
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